働く現代女性に役立つウェルネス研修

今回のウェルネス研修では、「女性のライフステージと健康」をテーマに、産婦人科医の対馬ルリ子氏による講演が行われた。現代女性は職場進出が進むとともに出産回数が減る傾向にあり、女性特有の病気にかかる人が増えているという。寿命が延びたことから更年期も長くなり、ライフステージに合わせて健康を考えていく必要が出てきた。

6月に開催されたウェルネス研修の様子

さらに、産婦人科医との付き合い方について、欧米では思春期からかかりつけ医を持つのに対し、日本では妊娠するまで診療を受けたことがない女性が多いと指摘。健康チェックが不十分になる恐れがあると警鐘を鳴らした。また、女性ホルモンによる体への影響や、不調の予防法、治療法についても紹介し、「普段から検診・相談・予防・治療の4つを習慣にしてほしい」と訴えた。

こうした知識は、中学の保健体育で習ったきりという人も多いだろう。そう考えると、大人になった自分の体や、長く働く上で大切になる“不調との付き合い方”について知る機会は、意外と少ないのかもしれない。だが、ハードワークの社風を持つ企業が、女性の日常的な悩みに寄り添うのは珍しい。社員からも「うちの会社がこんな研修をやるなんて」と、驚きの声が上がっているほどだという。

互いに健康を気づかい合えるように

都市創造事業本部 物流事業部事業一課兼海外事業部海外企画課 課長 徳永有香さん

研修に参加した女性社員2人に感想を聞いてみた。課長として活躍する徳永有香さんは、「私の仕事は健康でいることが絶対条件」と語る。海外も含めて現場に出ることが多いため、20代の頃から体調管理に気を配り、今も毎週末の運動は欠かさない。「研修で聞いた『プレ更年期』が近づいているので、引き続き自分をしっかりケアしていきたい」と力を込めた。

人事部に所属する田中さんは、以前から体調の波に悩んでいたそう。だが、研修を受けたことで「女性なら我慢するのが普通だと思っていたが、『我慢しなくていい』と言われて前向きになれた」と、気持ちが楽になった様子。原因や対処法を知って、不調も前向きに捉える意識が生まれたという。

この研修は、石川さんが目指す「互いに健康を気づかい合える環境づくり」の一環でもある。目標により近づくため、今後は男性管理職が女性の不調について学ぶ機会もつくっていきたいという。ただ、こうした活動も昭和的働き方が続くようでは意味がない。そのため石川さんは、もう一つの目標である「誰もが働きやすい環境づくり」に対しても、大胆な施策を進めている。