自分らしくないことは無理して頑張らない

私がニューヨークの人々の生き方から学んだ「エフォートレス」=effortlessというコンセプトがあります。努力を必要としない、肩の力が抜けた、という意味の言葉です。やりたくないこと、自分らしくないことは無理して頑張らない。でも自分の夢や憧れに対しては決してサボらずに情熱を注いでいく。肩肘張らず、力の入れどころと抜きどころを知り、自分のパフォーマンスを最大限に発揮するという考え方です。私が行うライフコーチングでは、エフォートレスに生きることを柱として、クライアントのさまざまな悩みに寄り添っています。

また、“そのつど”という概念もニューヨーカーのエフォートレスな生き方に通じると思います。自分らしくない過去のできごとに拘泥しても仕方ない、パッと切り替えて、たった今からスタートさせればいい。前述のカフェにいた女性もそうですが、失敗したとしても、自分を信じてそこからやり直せばいいだけ。すがすがしいまでの切り替えの早さは見習いたいですね。

夢に“ブレーキ”はかけません!

日本では「こうあらねばならない」という価値観に背くと、罪悪感を持ってしまう人が多いのではないでしょうか。それが夢ややりたいことにブレーキをかけてしまうのです。あれこれ条件が整ってから「そのうちに夢をかなえたい」と思っていても、“そのうち”はやって来ません。

ニューヨークに長年住んでいるメンターの言葉で印象に残っているものがあります。それは「マンハッタンでは、誰かが引っ越しをしたいと思うと、その瞬間に完璧な部屋が1つ空く」というもの。自分に起こるできごとを信頼し、ひらめきにしたがって生きることで、自然と道は開かれる。やりたいことに素直になれば、無駄な努力や遠回りをしなくても幸せが訪れる。そんな意味です。

ニューヨークは「私らしくいればうまくいく」と、自信を思い出させてくれる街なのです。

関口 梓(せきぐち・あずさ)
ライフコーチ
慶應義塾大学法学部政治学科卒業。本田技研工業法務部を経て独立。2011年より、働く女性向けのライフコーチングを提供。近著に『ニューヨークのライフコーチが教える ありのまま輝くエフォートレスな生き方』(大和書房)。