夢の街創造委員会社長
中村利江(なかむら・りえ)さん
関西大学文学部卒業。リクルート、ほっかほっか亭総本部のハークスレイを経て、プランニング会社設立。2002年に宅配ポータルサイト「出前館」を運営する、夢の街創造委員会社長に就任。

両親から受け継いだお金に対する“シビアさ”

私は富山県高岡市の出身です。堅実で、貯蓄率も持ち家率も高い県民性で知られていますが、わが家も当てはまるかもしれません。父が事業をやっていて経済的に余裕があったほうだと思いますが、両親ともにお金に関してシビア。私もその感覚を受け継いでいるようです。

夢の街創造委員会社長 中村利江さん

たとえば、コンビニは無駄遣いの誘惑が非常に多いので、ほとんど足を踏み入れたことがない。必要があれば立ち寄ることもありますが、そんなときは「これって、こんな値段で売っているんだ」とか「新製品が出たんだ」などと市場調査をしています(笑)。大した金額ではないからと、チョコレートやジュースをコンビニで毎回衝動買いしていては、ただの散財。その分を貯蓄に回したら、結構な額になりますよね。

また、移動手段にも無駄なお金は使いません。2~3時間ぐらいの移動ならば、飛行機はエコノミークラスで十分。もっと時間がかかる場所に出張する際は、エコノミーだと疲れて仕事のパフォーマンスが悪くなるので、ビジネスクラスを使います。ファーストクラスはビジネスクラスと仕様がそんなに変わらない気がするのに、値段が倍ほど高い。追加料金がかからないアップグレードで乗ったこともありましたが、お金を払ってまで乗りたいとは思いません。

無駄を省くという点では、働き方も同じ。常日頃から社員に言っているのは「長い時間をかけて仕事をするのは効率的ではない。やるべきことを集中してやって仕事の効率を上げ、空いた時間でほかのことをやったほうがいい」ということ。同じことを毎日やっていても給料は飛躍的にアップしません。多少手を抜いても、斬新なアイデアや工夫を考え出して新しいビジネスにつなげたほうが収益が大きくなり、結果的に給料が高くなります。

もちろんすべての仕事を効率的にやることは難しく、成功にたどり着くまで長い時間を要することもあります。社長を引き継いだ当初、メイン事業の「出前館」は大赤字だったので、私はほかの誰よりも低い給料で、誰よりもたくさん働くと決意。そこまでして引き受けたのは、フードデリバリーのポータルサイトという事業に大きな可能性があると思っていたからです。