男性の家庭進出のための訓練が必要

ですから「男性も自然と家事育児をやるようになるだろう」と女性が思っていても意外とやれないでしょうし、男性も何も勉強せずに気軽にやれると思っていると、そうもいかないはずです。男性の家庭進出にあたって、訓練の場があることが理想です。

※写真はイメージです(写真=iStock.com/undefined undefined)

今、母親学級を両親学級にしている自治体もありますが、そのように男女どちらも来やすくしたり、産後の入院中に父親が来て沐浴をさせたり、少しずつ慣らしていく期間が必要です。また、母親学級に男性が混ざっていても違和感がないようにするなど、相互に抵抗がない社会になっていく必要があります。男性が育児をすることに対する、社会的な受け入れ体制はまだまだこれからと言わざるをえません。

実現するまでだいぶ時間がかかりそうですが、やらないと始まらないし、やってみないと分かりません。例えば、シングル・ファーザーの方に話を聞くと、先進事例が出てくる可能性が高いでしょう。シングル・ファーザーの方の支援は見落とされがちで、家事育児に対する戸惑いや、周囲の無理解など、苦労話がたくさん出てくるはずです。

夫婦のぶつかり合いは増えるかも

男性が家事育児を学ぶ場を急速に広めていくとしたら、政府から委託された企業や、あるいは法規定された地元の支援団体などがやるのがよいでしょう。NPO団体などが活躍する余地も大きいです。ただ、それでも行政がバックアップしていく体制がないと、地域に偏りが出てしまうかもしれない。

男性の育休義務化を目指す議員連盟ができてはいるけれども、実際に現場でどうするかというところまでは、見えていません。今はインターネットがあるので、ネット上のコミュニティで悩み相談をしたり、事例を集積させたりといった、少ないコストでできることもありそうです。

男性も女性も、お互いに対して広い心でやっていくことが大事かと思います。こだわりを持ってやっている家事があった場合、方針が対立するかもしれない。今まで放任していた分、男性が家の領域に介入すると、細かいところでやり方が食い違う可能性があります。おそらく、家事よりも育児のほうがお互いのこだわりが出て対立するでしょう。これが仕事なら、対立した時に第三者が自然と仲裁に入るけれど、夫婦二人だとそれができません。

ただ、今後男性の家事育児への介入が増えていけば、事例や情報も増えて共有されてくると思います。それまでは、お互い広い心で。家事や育児に「正解」はないと思わないといけません。