母親の働く姿を見せることはメリットがある
それに、スウェーデン人は、母親だけが面倒を見るよりも父親も育児に携わったほうが、子どもの成長にプラスになると考え、さらに親以外の人のものの見方や考え方に触れることが望ましいという考え方をします。
男性が小さいときから母親とべったりだとマザコンになりやすいとも言われますが、それは母親の価値観だけで育てられた弊害かもしれませんね。小さな子どもに母親の働く姿を見せることにはメリットがあると思います。うちの学生でも、母の働く姿を誇りに感じ、自分も頑張って働きたいという人がたくさんいます。もちろん、専業主婦の母親を誇りに思うことが悪いわけではありません。
子どもは父親や母親の姿を見て育ちます。母親が働いている女子学生は自分もそんなふうになりたいと考え、父親が家事をしている家の男子学生はそれが当然だと考える傾向があるのは、何も不思議なことではないということです。
育休480日分、いつ取得してもOK
ちなみにスウェーデンでは先ほどの育休480日を続けて取得する必要がなく、好きなときにインターネットの“口座”から引き出せるような形になっています。それ以外に子どもが15歳までは年間20日まで子どもが病気になったときなどに使える休みが付与されます。どちらの休みも原則上司に相談する必要はなく、ネット上で手続きすれば休めます。もちろん、上司や同僚と一緒に進めているプロジェクトなどに影響が出る場合は、あらかじめ話しているでしょうが。余談ですが、サッカーのワールドカップが開催されるような時期は、やけにお父さんたちの育休が増えて困るという話を聞きます。
スウェーデンの管理職たちは、部下の家事や育児に対して大きな価値を見いだしています。仕事と違う経験をすることが、仕事で煮詰まったときのヒントになるなど、仕事に対してもよい効果をもたらすと考えています。
例えば部下の子どもが病気になるといった不測の事態まで織り込んでマネジメントできる人が「できる上司」です。子どもを育てることは企業の社会的責任でもあります。部下が「子どもが風邪をひきました」と言ったら、「遠慮せず休みなさい」といえる上司はカッコよくて、部下がハッピーになるばかりか、部下はこんなよい上司に恵まれているのだから頑張ろうとモチベーションが上がり、その結果生産性が向上する、と見るわけです。この考え方は、日本の企業にも参考にしてほしいと思っています。
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