その日のためにできることはある?

そうはいっても、転職の転機は来るかもしれない。そのためにいまやっておくべきことはないのだろうか。

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「人と企業のマッチングがうまくいくかは、その人のタイプと企業のカルチャーが合っているかにかかっています。転職先を探す際は、『自分を振り返ること』と『転職先企業のカルチャーを調べること』はしたほうがいいでしょう」

その具体的な方法が、振り返りシートだ。

「1のように、自分の性格や価値観、どんなことが嫌いかなどをどんどん書き出していきます。シートの問い以外でも、自分を振り返るきっかけになりそうな過去の出来事を思い出すままに書き出してください。それを2の10個のカテゴリーに分類します。⑨までが自分の内面(OS)で、⑩が技術やスキル(AP)です」

転職の際、履歴書などに書くAPを重視しがちだが、むしろ自分のOSと企業のカルチャーが合っているかがマッチングの決め手なのだという。

異文化跳躍力を鍛えてみる

「もう1つ、今日からでもできることがあります。それは『自分自身の自尊心を高めること』『他者軽視感を減らすこと』『異文化跳躍力を付けること』です」

「異文化跳躍力」とは、どこでも周囲とうまくやっていくことができる力のこと。これを付けるには、「つねに相手の関心に関心を示せるか」。

「世界的に見ても日本人は自尊心が低い国民で、承認欲求が高い傾向にあります。社内でも『私はこんなにがんばっているのに、上司に評価されていない。私は〇〇さんのように社交的でないし、上司もきっと私のことは扱いにくいと思っている』などと不満や不安を抱えている人もいるのではないでしょうか。あなたがそう感じ、上司から褒められたらうれしいように、相手に関心を寄せたら、相手は承認欲求が満たされ、うれしく感じます。その積み重ねで、結果として相手への軽視感が減り、異文化跳躍力が身に付き、ひいてはあなたの自尊心が高まるのです」

例えば社内で苦手だなと思っている相手に「大切にしているものってなんですか」など、関心を寄せた質問をして話をしてみる。そうしていくうちに視野が広がり、さまざまな人のいいところや努力に目を配れる人間になるという。

「男女や好き嫌いで判断せず、部下の持つ細かな能力に気づく力は女性のほうが秀でていると思います。女性の転職先として、BtoCで女性をターゲットにした商品を出している企業は狙いやすいと思いますが、最近は異業種転職でうまくいくケースも多いです。ご自身とその企業のカルチャーが合っているかは、自分のOSと合っているかどうかの見比べのほか、働いている人に話を聞いて判断するのが一番です。コネクションをつくって、複数人に聞いて判断しましょう」

武元康明(たけもと・やすあき)
半蔵門パートナーズ代表
日系、外資系と双方の航空業界を経て、人材業界へ転身。21年間の人材サーチキャリア、2万人を超えるインタビューの実績を持つトップヘッドハンター。著書に『30代からの「異業種」転職 成功の極意』(河出書房新社)、『会社の壁を超えて評価される条件』(徳間書店)ほか。