そもそも、PTAとは?
PTAとは、日本最大規模の社会教育団体だ。その名はParent-Teacher-Associationの頭文字を取ったもので、保護者と教職員によって構成される、ボランティア組織だ。公立、私立、国立ごとに組織され、幼稚園から高校までの「学校」に作られ、学校に付随する組織で、会員数は全国で1000万人を超える。
繰り返すが、PTAとはあくまで、任意加入の団体なのだ。にもかかわらず、強制加入であるかのような役員決めが毎年、繰り広げられているのが現状だ。
このようなPTAの強制加入については、裁判も起きている。加入していないのにPTA会費を徴収されたとして、PTAに対して保護者が会費返還を求め、訴訟を起こし、高裁で和解が成立した。和解には「PTAが入退会自由な任意団体であることを保護者に十分、周知させること」「知らないまま入会させたり、退会を不当に妨害しないよう」、PTA側が努めることが盛り込まれている。
PTAの強制加入は、憲法違反
PTAの強制加入は、憲法違反にも通じる問題だ。日本国憲法21条「結社の自由」には、結社「しない」自由も含まれている。ゆえに、PTAという「任意加入の団体」を自由に結成・解散することはもちろん、自由に参加や脱退ができることが保証されている。規約に「強制加入」を謳うPTAも現にあるが、保護者から訴えられれば、憲法違反として敗訴は確実なのだ。
とはいえ、「任意加入」を保護者に周知徹底しているPTAが、全国にどれだけあるのだろう。本部役員自体、強制加入=憲法違反という認識をどれだけ持っているのかも怪しい限りだ。こうして当たり前のように、保護者全員を強制的に会員にして有無を言わせぬ役員決めが行われているのが、圧倒的多数のPTAの姿だと言えるだろう。
次回は、自分や家族の時間を犠牲にしてまで関わったPTAの実際の活動に踏み入ろうと思う。
福島県生まれ。ノンフィクション作家。東京女子大卒。弁護士秘書、業界紙記者を経てフリーに。主に家族や子どもの問題を中心に、取材・執筆活動を行う。2013年、『誕生日を知らない女の子 虐待――その後の子どもたち』(集英社)で、第11回開高健ノンフィクション賞受賞。他の著作に『子宮頸がんワクチン、副反応と闘う少女とその母たち』(集英社)、橘由歩の筆名で『身内の犯行』(新潮社)ほか。息子2人をもつシングルマザー。
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