5年で34万5000人の受け入れが政府の目標
今年4月1日から新たな在留資格「特定技能」による外国人労働者の受け入れが始まる。これまで「専門的・技術的分野」の高度人材しか受け入れてこなかったが、深刻な人手不足に対応するために単純労働者にも門戸を開くことになる。
「特定技能」は通算5年滞在できる「特定技能1号」と在留資格が更新できる専門技術的な労働者の「特定技能2号」の2つだ。特定技能2号は高度専門職と同様に家族帯同も可能だが、1号は家族帯同が許されない。単純労働者に近いとされる1号の対象者は農業、介護、建設、ビルクリーニング、宿泊、外食など人手不足が深刻な14業種。政府は2019年度から5年間の累計で34万5000人の受け入れを数値目標として示している。
なかでも高齢社会の日本で必要不可欠なのが介護職員だ。介護人材は現在約190万人だが、厚生労働省は2020年度に必要な人材は約216万人と予測し、約26万人が不足。2025年は約245万人となり、約55万人が不足すると予測している。
それでも不足する介護人材をどうするか
今回の外国人労働者の受け入れでも「特定技能1号」の対象業種のなかでも介護人材は最多の6万人の受け入れを見込んでいる。政府は2023年には約30万人の介護人材が必要だと見ているが、6万人の外国人材を受け入れても残り24万人が不足することになる。
政府はどうするつもりなのか。じつは今回の外国人受け入れ見込み数6万人を算出した根拠となる「介護分野における特定技能の在留資格に係る制度の運用に関する方針」にはこう書かれている。
「向こう5年間で30万人程度の人手不足が見込まれる中、今般の受け入れは、介護ロボット、ICTの活用等による5年間で1%程度(2万人程度)の生産性向上及び処遇改善や高齢者、女性の就業促進等による追加的な国内人材の確保(22~23万人)を行ってもなお不足すると見込まれる数を上限として受け入れるものであり、過大な受入れ数とはなっていない」