また、坐禅中は、「警策(きょうさく)」と呼ばれる棒を持った僧がゆっくりと背後を巡回するのですが、自分の後ろに近づいてくる気配を感じると、緊張で頭に変な汗をかきます。「姿勢が悪い」「居眠りをしている」などの理由から、坐禅に集中出来ていないと思われたら、警策で右肩を打たれるからです。2度背後に気配を感じ、呼吸が乱れた気がしましたが、どうにか打たれずに済みました。ホッ。

再度鳴り響いた鐘の音で坐禅が終了。終わると同時に、みんな足首をもみほぐしたり、思い切り身体を伸ばしてストレッチしたり。坐禅中は、他の人の様子を見ることはできませんが、みんな同じような痺れや、緊張感と戦っていたと分かり、少し安心しました。最後に、腰から曲げるお辞儀をして体験終了です。

今回、“私が”という自我を手放すように努め、何も考えずに教えられた型をそのまま真似る20分を過ごしている間、上司のやり方を素直に真似て身に付けていた社会人1年目の頃の初心を思い出していました。仕事を続ける日々の中で、ついつい私たちは働く目的や、目の前の課題に取り組む理由を求めがちですが、週に一度くらい、仕事を離れて、ただあるがままの自分を受け入れる時間を持ってみるのもいいのではないでしょうか。

明るい時間帯の「山門」

坐禅会レポート後編では、日暮里にある「人間禅」の専門道場「澤木道場」で受けた「女性の美は坐禅から 女性だけの坐禅会」と、中目黒のビストロで受けた臨済宗の「禅Cafe」をご紹介します。お寺での厳格な坐禅会とは座禅の心得も坐禅法も全く異なりますので、楽しみにお待ちください。