「ふるさと納税は、もともと地方創生のための制度。お礼の品は、自治体が地元企業や生産者から品物を買い上げたうえで寄付した人に送る仕組みなので、私たちが寄付をし、お礼の品を楽しむことは、地方の応援につながります。しかし、返礼割合が高い自治体があると、そこに寄付が集中し、ほかの自治体の努力が報われなくなる可能性もある。ふるさと納税で地方を応援し、社会貢献するという趣旨に賛同するなら、規制は悪いことではありません」

イラスト=ヤマグチカヨ

さらに、ふるさと納税では、寄付した人が寄付金の使い道を指定することもできる。自治体によって少しずつ異なるが、「被災地支援」「環境保護」「子ども・教育の支援」など、いくつかの項目から選択するのが一般的。

ご存じのとおり、私たちが普段納めている税金は、個々に使い道を指定することができないので、ふるさと納税は税金に自分の意思を反映させられる稀有(けう)な制度と言える。

「また、最近はクラウドファンディングが注目されていますが、自治体がふるさと納税を活用してさまざまな問題解決のための資金を募る『ガバメントクラウドファンディング(GCF)』も増加。GCFは通常のふるさと納税より集めたお金の使い道が明確で、賛同する地域の取り組みを支援でき、税金の控除も受けられます。気になる社会問題がある方は、GCFの形で貢献することも視野に入れてみてください」

▼ふるさと納税の5つのメリット
(1)寄付する自治体を選べる
ふるさと納税は全国すべての自治体で受け入れている(お礼の品については用意していない自治体もある)。好きな自治体を選んだり、お礼の品の内容から寄付先を選んだりできる。
(2)税金の使い道を指定できる
寄付するタイミングで、寄付金の使い道を指定できる。自治体にお任せもできるが、せっかくならどんなことに税金を使ってほしいか、よく考えたうえで寄付をするようにしたい。
(3)お礼の品がもらえる
各自治体で野菜や米、果物、肉、魚介類、酒類など、さまざまなお礼の品を用意。最近はモノだけでなく、「地元のマラソン大会の出場枠」など、体験型のお礼の品も増えている。
(4)税金の還付や控除がある
確定申告した場合は、所得税から還付、翌年度の住民税から控除が受けられる。控除される寄付金の上限額は、収入や家族構成などによって異なるため、事前に確認が必要。
(5)クレジットカード決済が可能
寄付方法は自治体により異なるが、多くの自治体でカードによる寄付が可能になっている。カードは寄付者名義のものを使う必要があるので、家族が代わりに寄付するときは注意。