手術以外にもいろいろかかる! シミュレーションサイトで実費を計算
▼がんで実際にかかるお金の目安はいくら?
高額療養費のような救済措置があるとはいえ、「がんになって定期を解約した」「治療費以外にも何かとお金が出ていった」などの声は多いもの。実際、がんでどの程度お金がかかるかを理解するために、シミュレーションサイトを使って、乳がんになったときのコストの目安を試算してみました。

ウィッグや家事代行、再発予防の漢方薬も。

ここからは、がんになるとどんなことにいくらお金がかかるかを見ていこう。まず気になるのが、入院・手術や通院治療の費用だ。がんの治療費の目安をシミュレーションできるサイト「がん治療費.com」で、乳がん2例の治療費(総額)を算出。それをベースに、実際の自己負担額の目安を割り出した。告知から5年目まで通院治療を続け、順調に治療が進んだ状況を想定している。

シミュレーションサイト上で選択できる乳がんのステージは、進行度合いが低い順に0期、1期、2期、3A期、3B期、3C期、4期。今回は、発覚時のステージとして比較的多い2期と、3A期を例に挙げた。

試算結果はCASE1(2期)が34万円前後。CASE2(3A期)が141万円ほど。意外と少なく感じるかもしれないが、がん治療中は治療費以外にも何かとお金がかかる。

「例えば私の場合、ホルモン治療の影響が肌に出て、しょっちゅう皮膚科に通うことになってしまって。そこでかなりお金を使いました」

と、黒田さん。抗がん剤の副作用で脱毛し、ウィッグが必要になる例も多い。また、放射線治療のため、仕事に復帰したものの、連日午前中に半休を取って通院し、病院から出社する、というパターンも。急いで出社しなければならないうえに、治療で消耗し、タクシーに頻繁に乗ることになった体験談は数えきれない。

「術後間もない時期の治療中、ベビーシッターや家事代行を頼むこともあるかもしれません。また、再発予防のため、健康維持を目的として運動を始めたり、漢方薬、サプリに凝ったりする人も非常に多いです」

このように、元気なときは思いもよらないことにお金がかかるのが実態のよう。そのため、目安として100万~200万円ほど自己負担がかかる、と認識するのがよさそうだ。

「その他の注意点としては、治療開始から当分は元気なときと同じペースで働くのが難しいですし、治療が終わっても無理はできなくなります。そのため以前より収入が減り、それに伴って将来の年金や退職金が減ることもある、と覚悟しなければなりません。やはり早期発見はお金の負担も体の負担も軽く済むので、乳がんであればセルフチェックなどの習慣をつけるのもおすすめです」

▼黒田さんからのアドバイス
1. 早期発見なら医療費も安くなる可能性が高い。がん検診や乳がんのセルフチェックなどを習慣に。
2. 今、貯蓄が不安なら「がん保険」の検討を。タイプによって、がんと診断されたら一時金が出て心強い!
3. がんになったらその後は無理できない。働き方が変わり、中長期的に収入が減ることも覚悟。