現代語訳で、古典を気楽に読もう

【森岡】『数学する身体』には評論家の小林秀雄のことばの引用もありますが、小林は名文家。随筆集『モオツァルト・無常という事』(※7)では、その言葉の美しさを堪能できます。

【間室】本当に昭和の名著ですよね。

【森岡】小林と岡の対談集『人間の建設』(※8)を読んで気づいたのが、何事も楽しんで学ぶことの大切さです。

【間室】ああ、わかる! 『源氏物語』(※9)も無理すると読むのに挫折しますが、角田光代さんの現代語訳は斬新で自然に楽しめるはず。だって、光る君の“顔”が見えないの。物語の中心にいるのに透明なんです。

【森岡】「男の一生」というより、「人間の運命とは何か?」を描こうとしていると評判! ぜひ読みたいです。

【間室】海外小説なら、実話が基になった『ネバーホーム』(※10)を。南北戦争時、弱虫な夫の代わりに男装して戦いに行った妻の話で、柴田元幸さんの訳がまあ素晴らしい!

(※7)小林秀雄/新潮文庫(※8)小林秀雄、岡潔/新潮文庫(※9)角田光代(訳)/河出書房新社(※10)レアード・ハント/朝日新聞出版