憧れのあの人の言葉を、ヒントにしよう
口癖のイメージがつかめなければ、会社のクレド(信条)やキャッチコピーを見ると、よい言葉が見つかります。雑誌などのメディアにはいろいろな人のインタビューが載っていますから、そこから憧れの人を見つけて、見出しをチェックするのも手です。そこには必ず、その人の価値観が表れています。それをそのまままねてもよいのですよ。
自分の口癖に気づいたり、あるいは口癖をつくったりしたら、意識的に口にする回数を増やします。経営者へのコンサルティングでは、2つの目標を立てていただくようにしています。
1つ目は口癖から名付けた「あだなで周りに呼ばれるようになってください」ということ。あるサービス業の女性経営者の話です。その社長はふだんから「お客さまに私たちの真心をわかってもらおう」と、おっしゃっていたので“真心”という言葉を口癖にしていただきました。
そして「『真心社長』とあだなで呼ばれるようになってください」とお伝えしたら1年後、見事に経営者仲間に「真心社長」と呼ばれるようになっていました。さらに、新しくつくった名刺にも「真心社長」と刻まれていました。
2つ目の目標は、忘年会などの宴席で社員に社長の物まねをされることです。「真心社長」の場合、「お客さまに真心を~」と言っている社長の物まねをされるようにするのです。あだなで呼ばれ、物まねをされて、口癖で自分を覚えてもらえば、何かのときにすぐに思い出してもらえます。これこそ「私プレゼン」です。
ぜひ、なりたい自分にふさわしい口癖をつくってみてください。
スピーチコンサルタント
長崎大学准教授。NHKキャスター歴17年。心理学の見地から「他者からの評価を高めるスピーチ」を研究し博士号取得。政治家、経営者やビジネスパーソンに信頼を勝ち取るスピーチやコミュニケーション法を伝授。著書に『最高の話し方』(KADOKAWA)など。
構成=池田純子 イラスト=アヤコオチ 写真=iStock.com