キャリアを変えることはリスクです。決断を後悔するかもしれません。それでも新天地に飛び込んだ女性たちがいます。なぜその一歩を踏み出すことができたのか。連続インタビューをお届けします。今回は、SmartHR 執行役員・プロダクトマネージャーの副島智子さんのキャリアについて――。

※本稿は、「プレジデントウーマン」(2018年4月号)の掲載記事を再編集したものです。

SmartHR 執行役員・プロダクトマネージャー
副島智子
さん 42歳 転職4回

人事労務畑で取締役を経験。遅れていたIT化に向き合う

「この希望年収でご紹介できる仕事はありません」

興味半分に転職エージェントに経歴を登録したら、返ってきたのは予想外の厳しいコメント。副島さんは当時28歳。ウェブ制作会社の総務部門の部長職にあった。「人事、総務、営業管理などを一通り経験して、自分にはスキルがあると思っていましたが、結局、広く浅い経験しかなかったんです」。2年後、専門的な知識を身につけたいと退職を決意。派遣会社に登録し、人事総務部門を数社、渡り歩いた。副島さんは「専門的な業務」を希望したが、その経歴から多様な業務を頼まれてしまう。これではスキルを磨けないと焦る中、目に留まったのが、給与計算や社会保険、人事制度の企画を行う「人事労務」の仕事。法律知識も必要で、高度な専門性が求められる分野だ。「自分のバックボーンを活かしつつ、専門性も高められそうだ」と気づいた。

副島智子さん

33歳で入社した外資系製薬会社では、希望通り給与計算や社会保険手続きなどを専門に扱う部署に配属された。

「スキルは身について満足でしたが、外資系なのでリストラが容赦ない。『次は私の部署では』と不安を抱くようになりました」