※本稿は、「プレジデントウーマン」(2018年4月号)の掲載記事を再編集したものです。
平良円乃(たいらかずの)さん 30歳 転職2回
結婚より仕事を選んで、カフェでマネージャーに
大学で栄養学を学び、東京都内の区立中学校に1年契約の栄養士として採用された平良さん。だが職場の栄養士はたった1人。プレッシャーに耐えかね、契約更新はせず、私立の保育園に転職した。
「ここには先輩栄養士が2人いて、仕事を一から教わることができました。子どもも可愛かったし、最初は楽しかったんですが……」
3年が経ち、園の給食をすべて任されるようになると、新たな不安が湧いてきた。「白衣を着て、帽子をかぶってマスクをして、毎日、同じ給食をつくる……。これからもずっとこのままでいいのかと考えるようになったんです」
保育園を辞めた平良さんが選んだのは、外資系コーヒーショップでのパートタイムの仕事。「おしゃれがしたかったし、カフェで働くことにあこがれてたんです」と素直な動機を明かして笑う。ニュージーランドに本店を持つオールプレス エスプレッソには外国人スタッフも多く、「駅前留学気分を味わえる」という期待もあった。週3日のパート勤務からスタートし、2カ月後にはフルタイムに延長。やがて栄養士として培った管理能力を買われ、シフトや発注など店舗全般の運営を見るマネージャーを任される。
「本当にうれしくて、毎日が楽しかったです」
だが翌年、社長が日本人から本社のニュージーランド人に交代すると、英語を話せるスタッフが店全体のマネージャーになり、平良さんはキッチンマネージャーに。「残念でしたが、『それなら接客を頑張ろう!』と一念発起。お菓子づくりが好きだったので、本国のレシピをアレンジして、誰がつくっても失敗しないシンプルでおいしいスイーツをお店に出すようになりました」。