出産後、ますます仕事にのめり込む
仕事で開眼すると私生活も好転した。31歳で結婚し子どもを授かる。6カ月の予定だった産休は3カ月に短縮した。産休前、生理用品以外のブランドも手掛けたいと社内アピールしていたら、化粧品ブランドの上司から「SK-IIのブランドマネジャーのポストが空いた」と言われ慌てて職場復帰。
32歳で長女、35歳で長男を産みながら、ますます仕事にのめり込んでいく。その裏の、夫の多大なる協力も見逃せない。
「まったくもって子育てが苦にならない人なんです。子どもたちも『病気のときいつもいてくれたのはお父さん』と言うくらい(笑)」
保育園に子どもを送るのは夫、迎えに行くのは妻とハッキリ役割分担した。野上さんは朝4時半に起きて6時ごろ出社し、夕方は6時に仕事を終え、子どもを迎えに行き、9時半に一緒に寝る。夫は野上さんが出た後に起き、野上さんが寝た後に帰宅する。
野上家が編み出した2交代制だが、インド人の男性社員から「なんて悲惨なんだ! 夫婦が会わないなんて」と言われた。
野上さんはアストラゼネカに転職してから“本物”のワーク・ライフ・バランス(WLB)を見ることになる。15年夏からスウェーデンで勤務をしたときだ。夫に「子どもたちに海外を見せてやりたい」と言うと、賛成してくれた。仕事で日本を離れられない夫を残し、子ども2人を連れ、呼吸器関連薬のヘッドとしてスウェーデンに赴任。
「みんな家族と一緒に自宅でご飯を食べるので、ふつうは5時、6時に帰り、金曜の4時にはオフィスに誰もいなくなる。私も子どもとの時間がたっぷりとれました」