色を「加えて」いくのではなく「除いて」いく

私は男性ですが、以前に「引き算メイク」というフレーズを聞いたとき、うまい表現をするなと思ったものです。この考え方はグラフのメイクアップにもそのまま当てはまります。

たとえば、図の円グラフをご覧ください。ある雑誌の購読者がどの地域に多いのか、500人に調査したデータです。上のグラフでは情報も色も多すぎて、メッセージが伝わりにくい状態です。お化粧に置き換えてみても、あまりお上品なメイクとはいえません。

こんなときこそ、引き算の発想で。伝えたいメッセージは何かを考え、色を「加えて」いくのではなく「除いて」いきます。このグラフでもっとも伝えたいことが「4割は東京都」であれば、下のグラフのように、そこだけフォーカスすればよいでしょう。日本全国の人口の10%が東京都民であることを考えれば、この雑誌はかなり東京の読者に好評だということが簡単に説明できます。

現代は「引き算」の時代です。先ほど登場したプリマヴィスタの現在のキャッチコピーは「メイクレスに生きよう。」です。そんな時代に生きる女性なら、仕事においても引き算の発想を常に持っていたいもの。グラフもナチュラルメイクに。ぜひ明日から意識してみてください。

▼ビジネス数学の専門家・深沢真太郎先生のアドバイス
グラフもメイクと同じ! 厚塗りよりもナチュラルメイクが◎
深沢真太郎
ビジネス数学の専門家。BMコンサルティング株式会社代表取締役/多摩大学非常勤講師。『数学女子智香が教える 仕事で数字を使うって、こういうことです。』(日本実業出版社)など著書多数。人生のテーマは「数字が苦手な人を0(ゼロ)にする」。

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