仕事の優先順位を決めるにはどうすればいいのか。「ビジネス数学」の専門家である深沢真太郎氏は「優先順位を『数値化』すれば、判断が早くなる」といいます。たとえば200万円と100万円の商談があるとき、どちらを優先すべきでしょうか。具体的な計算方法を解説します――。

200万円と100万円、どっちの商談を優先?

営業担当の山田さん(仮称)は案件Aと案件Bのどちらを優先させるべきか悩んでいます。Aは100万円の商談。先方の担当者レベルの決裁で成約できそう。OKがもらえる可能性は正直いって五分五分です。

一方、Bは200万円の商談。ただし、先方の担当者だけではなく、その後に社長の決裁も必要になります。OKがもらえる可能性はそれぞれ8割、2割といった感触です。もちろん主観も入ったざっくりした確率です。

さて、このAとB、どちらの商談を優先するべきでしょうか。

まずAの現時点での価値は100万円の50%と考え、50万円とします。同じくBの価値は200万円の8割のさらに2割、つまり32万円です。このようにそれぞれの案件をひとつの数値で表現してしまえば、価値の高い50万円のAを優先するという判断ができます。

この方法はあらゆるケースで活用できます。たとえば「雑誌編集」という仕事で考えてみましょう。

多くの雑誌には特集企画と連載の2種類があります。特集企画は表紙に大きく謳われる記事です。重要度だけで考えれば、特集のほうが優先順位の高い仕事であるように思えます。しかし、締め切りが近いなど進捗状況が関係したときにも、そう言い切れるでしょうか。

このようなときは、それぞれの仕事の重要度を数値化してみます。仮に特集企画を100としたとき、どれくらいか。ここでは話をシンプルにするために連載の仕事の重要度をざっくり半分の50としましょう。

さらに進捗状況も数値化します。特集企画はざっくり70%、連載は20%進捗しているとすれば、特集企画の現時点での重要度の達成スコアは100の70%ですから70、連載は50の20%ですから10となります。