「数字に強い」とはどういう意味だろうか。「ビジネス数学」の専門家である深沢真太郎氏は「『価値』を定量化する感覚をもっていることだ」という。そのために役に立つのは「引き算」だ。たとえば「愛」を金額換算するには、「愛があるとき」と「愛がないとき」を数値化して引き算する。その方法とは――。

“プライスレス”なものも、引き算で金額換算しよう

私は今年で42歳になります。この数字を見た瞬間、あなたはおそらく「私と○歳差だ」と無意識に思ったのではないでしょうか。つまり私とあなたの年齢を比較し、2つの数字を引き算することで、「○歳差」という数字を導いたのです。つまり、引き算とは「比べるとき」に使う計算法になります。

世の中には定量化しにくいものがたくさんあります。たとえば「愛」を金額換算するとどのくらいでしょう。

もちろん絶対的な正解はありません。「プライスレス」と言いたいところですが、この難題も引き算を使うことで簡単に定量化できます。「愛があるとき」と「愛がないとき」を数値化して引き算すればよいのです。

たとえば、もし私が恋人に誕生日プレゼントを渡すとして、その予算は5万円程度です(少ないですか?)。一方、ごく普通の友人の誕生日プレゼントなら、予算は5000円くらい。その差額は4万5000円。つまり、この差額を「愛の値段」と定義することができるでしょう。

▼あなたがいなかったら、業績はどれくらいだった?

先ほどの「定量化しにくいテーマを定量化する」という思考回路のポイントは、比較すること、つまり「引き算」をすることです。

たとえば、あなたは先月も一生懸命お仕事をしていたはずです。「私はこの会社に欠かせない存在です」と言えることでしょう。ただ、本当にそうなのかは他人には伝わりません。定量化されておらず、かつ他の何かと比較していないからです。「あなたがした(いた)」と「あなたがしなかった(いなかった)」を比べ、具体的に何がどう違ったのかを数字で表現できて初めて他人に伝わるのです。