ブライダル情報誌『ゼクシィ』の中国進出プランはどのように進められたのか。現在、リクルートスタッフィング社長を務める柏村美生さんは、29歳のとき、中国へ単身赴任で乗り込み、大変な苦労を味わったという。雑誌「プレジデントウーマン」の名物連載から、柏村さんのエピソードを紹介しよう――。
リクルートスタッフィング社長 柏村美生●1998年、リクルート入社。赤すぐ営業、ゼクシィ営業などを経て2004年、「中国ゼクシィ」立ち上げ。12年、リクルートライフスタイル執行役員、15年リクルートホールディングス執行役員(現任)、16年より現職

中国版『ゼクシィ』立ち上げの艱難辛苦

柏村さんが最初に上海で働いたのは29歳のとき。新規ビジネスの社内公募制度でブライダル情報誌「ゼクシィ」の中国進出プランを提出し、見事グランプリに輝いた。夫と離れての単身赴任。

時代は2000年代初め。中国の結婚式は伝統色が濃かった。

「花嫁は真っ赤な衣装で、テーブルクロスも赤、どこもかしこも中国で縁起が良いとされる色で染まっていました。披露宴は飲めや歌えやが3日3晩続く地域も。好きなときに会場に来て、好きなときに帰るというスタイルでした」

柏村さんが上海で初めて取材したとき、これから結婚を考えているカップルに「ゼクシィ」を見せると、食い入るようにページをめくっていた。ブライダル情報が乏しいから、結婚までの段取りや披露宴の演出についてよくわからない、というのが中国人カップルの悩みだった。柏村さんは未開拓の巨大市場にワクワクしていた。