家族4人で、1年間のアメリカ生活をスタート
最初の2日間をロサンゼルスのディズニーランドで過ごすと、母はホテルで地図を見ながら「どこに住もうか?」と聞きます。とりあえずニューヨークへと向かい、たまたま出会った人の勧めでマサチューセッツ州のイーストハンプトンへ。美しい自然あふれる街で暮らし始めました。
アメリカの学校でも母は初日から付き添ってくれず、スクールバスで送り出すだけ。それでも母がいつも家にいて、お料理やチーズケーキをつくってくれるのはうれしかったですね。夏休みには長い旅行へ出かけ、いろんなところへ連れていってもらいました。
日本へ帰ってからも夏の旅行は欠かさず、そのクライマックスが「家族卒業旅行」。弟が大学へ入るときに2カ月かけて世界一周したのです。それまでの貧乏旅行とは違い、一流ホテルに泊まらせてくれ「これが大人の贅沢よ」と。母も子育てから卒業したのです。
私たちは「20歳になったら家を出なさい」と母に言われて育ちました。私も20代はモデルやバンドの音楽活動などの仕事がとても忙しく、母にはほぼ10年ほど会わなかったかな。結婚の報告も前日にしただけ。その後、仕事を辞めて子育てに専念すると、また母とよく会うようになりました。
そんなとき母は必ず「何で仕事しないの?」と聞き、「あなたは才能があるのだから、子どもなんて誰かに預ければ何とかなるわよ」と言うのです。私は子どもと向き合いたいという思いが強く、自分の母性に従ってきました。それでも2人目の娘を産んだ頃から、本来自分がやりたかったことがふつふつと湧いてきたのです。子どもたちを連れて海外に雑貨を買い付けに行き、自宅で紹介する仕事を始めました。