▼経済学の基本を学ぶ
『世界一わかりやすい 経済の教室』飯田泰之/中経の文庫
世の中にあまたある入門書のなかで、経済学を一から学ぶのに最適。本の構成も内容も非常にわかりやすくできている。経済とはどういうものか。日本の経済はどうなっているのか。ニュースや政策はどう捉えればいいのか、マクロ経済学の基本的なポイントがすべて押さえられる。
『新装版 レモンをお金にかえる法“経済学入門”の巻』ルイズ・アームストロング/河出書房新社
薄い絵本だが、レモネードを売る店を舞台に、主人公の試行錯誤を一緒に追いながら、市場価格、初期投資、経営、労働問題、競争、利益、合併や資産の流動化まで、経済学の基本と企業経営の基本があっという間にわかってしまう非常によくできた本。続編ではマクロ経済も扱っている。
『ミクロ経済学 戦略的アプローチ』梶井厚志・松井彰彦/日本評論社
経済学といえば「需要と供給」からはじまる。よい解説書はたくさんあるけれど、この本はそれをゲーム理論をもとに新たな視点で説明しなおしている点が斬新で、退屈な教科書よりおもしろく読める。体裁は教科書風だが、ミクロ経済とゲーム理論とが一度に学べる一挙両得の本。
▼経済問題が見えてくる
『エコノミストの昼ごはん コーエン教授のグルメ経済学』タイラー・コーエン/作品社
世界各地でおいしいレストランや食事にありつくにはどうすればいいかを、経済学的な発想に基づいて考察した本。経済学を変わったものに適用している。ついでに「エコ」や「スローフード」といったお題目のインチキさ加減についてもきっちり分析してあり、読んで損なし。
『人工知能は人間を超えるか ディープラーニングの先にあるもの』松尾 豊/角川EpuB選書
AIについて扇動的に取り上げた本はかなり出ているが、AIは何ができて何ができないかをかなりきちんとまとめている。経済の本ではないものの、今後経済に関わってくる問題で、人間が経済を考えるうえでの前提を変える可能性がある、多大な影響力をもつ技術の話でもある。
評論家、翻訳家。大手シンクタンク勤務。1964年生まれ。マサチューセッツ工科大学大学院修士課程修了。著書に『第三の産業革命』(KADOKAWA)、共訳書にT.ピケティ『21世紀の資本』など。文学、SFの翻訳も。
奥田由意=構成