▼世界史をシンプルに捉える
『「空間」から読み解く世界史馬・航海・資本・電子』宮崎正勝/新潮選書
キーワードとなる空間から世界史を考える。まずは陸を制したもの、次に航海術の発達で海を制したものが世界を制し、18世紀末には資本を、そして現在はサイバー空間を制したものが実権を握っている、という分析は、事実の羅列ではない歴史や人類の進化を、奥行きをもって示す。
『銃・病原菌・鉄 一万三○○○年にわたる人類史の謎(上下)』ジャレド・ダイアモンド/草思社
なぜ西洋人が世界史上、ほかの人種を抑えて優位に立つことになったのか。ヨーロッパ人が他民族と接触した際武器となった、表題のキーワードをもとに解明する。生物学、言語学などの豊富な知識に裏打ちされた読み物としてのおもしろさで、歴史を動かすダイナミズムに触れられる。
『炭素文明論「元素の王者」が歴史を動かす』佐藤健太郎/新潮選書
私たちがコーヒーを飲むとする。コーヒーも紙コップも、飲み干す体も、排せつされたものも、最終的にすべて炭素に還元される。人間が生きるとは、環境とさまざまなやりとりをすることだが、その中心の元素が炭素であることに注目し、人類の歴史を元素という視点から眺める。
▼経済のからくりがわかる
『貨幣進化論 「成長なき時代」の通貨システム』岩村 充/新潮選書
金融政策やテクニカルな用語では経済の核心を理解できない。本書では貨幣の成り立ちの本質が解説され、どんな仕組みでお金をめぐるシステムが動き、どんな理由でいまの制度ができたのかが、大きくつかめるように書かれている。これさえ読めばどんなニュースにも応用自在だ。
▼いまの世界情勢を的確に知る
『2030年 世界はこう変わるアメリカ情報機関が分析した「17年後の未来」』米国国家情報会議/講談社
アメリカの大統領が代わる(再選される)たびに国の情報機関は総力を結集して世界情勢を分析し、大統領に報告する。そのリポート。枝葉末節は省いて大きな流れとして捉えるのに最適。情報の信頼性も高く、アメリカが世界をどう見ているかもわかり、一冊で何度でもおいしい。