経営者はせっかち。要点が明確でさっと読める文章を

女だからということはあまり言いたくないですが、自分の気持ちを手紙に託すということは、女性がさりげなくやっても嫌な感じにならない方法かなと思います。

急ぎの場合はメール、ニュアンスを伝えたい場合はメールよりも電話、深くじっくり意図を理解し判断してもらいたい場合は手紙と、ツールを使い分けることを普段から心がけています。手紙を書くうえでは、句読点や改行の位置、カタカナをなるべく使わないなど言葉の選び方ひとつにも気を配っています。

また、仕事柄、経営トップの方と直接やり取りすることが多くありますが、そういう方たちはとにかく忙しくせっかち。要点が明確で、できるだけさっと読める文章であるということも大切なポイントです。

岡藤社長への当時の手紙を再現。忙しい相手には、手紙の内容を1枚目でさっと伝えることがポイント。

仕事とは人と人がやること。気持ちと気持ちでやっていることですから、相手がどんな方であろうと、書くときにはその人のことを想いながら言葉を選ぶ。それがもっとも想いが伝わる手紙になるのではないでしょうか。

川島蓉子
ifs未来研究所 所長。伊藤忠ファッションシステム株式会社取締役、ジャーナリスト/多摩美術大学非常勤講師。ファッションという視点から未来を見つめ、さまざまな分野の企業のブランドづくりプロジェクトに関わる。『社長、そのデザインでは売れません!』など著書多数。最近ではラジオパーソナリティも務める。

富岡麻美=構成 冨田寿一郎、水野聖二=撮影