巷で噂のブラック企業。優良企業の仮面をかぶっていても、裏に回れば真っ黒だったという落とし穴も多数。ブラック企業アナリストの新田龍氏がその実態を暴露します。

真実1:ブラックが多いのはこの業界!

▼物販系やビジネスホテルは長時間労働で勤務も過酷

ワースト3は飲食、流通、サービスなどの労働集約型産業。女性だと、アパレルや化粧品などの物販系に多いようです。物販系は多くの人が憧れる職業ですが、勤務時間は長く、給料も激安。それでも、本人がやりがいを感じているので辞めるに辞められません。

物販系は社員個人にも売り上げ達成目標(ノルマ)が課せられますが、商品自体に魅力がないと売れませんから、結局、自分で買い取る「自縛営業」の罠(わな)に陥り、身の破滅を招きます。

ビジネスホテルも、宿泊料金が極端に安いところはブラックの可能性大です。ホテルのフロントは長時間勤務が基本で、夜勤も日常。人手不足だと、夜勤の翌日にも昼夜通しのシフトを入れられて鬱(うつ)になるケースがありますね。

真実2:会社が勝手に給与から「天引き」

▼労災保険、弁償金、罰金などの勝手な天引きは違法!

会社が天引きしていいものは、「税金(所得税、住民税)」「社会保険料」「雇用保険料」の3つだけです。労災保険は会社が払う決まりなのに、勝手に引かれていることがあります。

会社の備品を壊したときの弁償金や、顧客に迷惑をかけたときのおわび代、遅刻したり無断欠勤した際のペナルティーを、「罰金」として天引きするのもブラック企業のやり口。これらは、給与明細に「保証金」「物品購入費」などと書かれていることがあります。

社員旅行の積立金や親睦会費などは、事前に協定を結んで合意していれば天引きしてもOKですが、勝手にやるのは違法行為。制服の代金やクリーニング代なども、就業規則で社員負担と明記されていなければ取られ損です。