いま活躍している女性管理職たちも、着任当初は不安も失敗もあったはず。ここでは彼女たちが着任した当初の100日間を振り返ってもらい、その実体験や乗り越えたエピソードを語ってもらった。

▼りそな銀行 江戸川南支店 お客さまサービス部長/オフィサー 杉本仁美さん
引っ張るだけではなく、チームを後押しするフォロー型のリーダーとなる

新卒で入社し、女性としては珍しい法人営業、融資、審査、人事などの本部業務を経験した。融資や審査は企業の決算書等の資料を読み込み、事業の成長性や資産の健全性から融資できるかどうか判断する。周りは男性ばかりだったが、女性だからと意識したことはなく、管理職へのステップアップも機会があれば挑戦したいと思っていた。

杉本仁美●りそな銀行 江戸川南支店 お客さまサービス部長/オフィサー 。1994年入社。融資、法人営業を経て2002年管理職に。人事部、本部審査部でも経験を積み、14年より現職。約40人の部下をまとめる。

法人営業に出たての頃、中小企業の社長が、女性が担当者であることに対して不満を口にしたとき、上司が「彼女はとても優秀なので、ちゃんと能力を見てくださいよ」と言ってくれ、心の支えになった。いま部下を要所要所で必ずほめるのはその経験から。

人前に出てチームを引っ張るよりは、「裏方に徹し、細かく相談に乗ったり話を聞いて、後押しやフォローするほうが得意」。初めのうちは、人を引っ張るリーダーにはなれないと悩んだこともあったが、その後「つらいときに声をかけてもらってうれしかった、との部下の言葉から、自分なりのやり方で部下をバックアップし、その結果チームとして成果を残していければいいのかな」と思うようになった。部下ひとりひとりの状態をよく見て、元気がなければ積極的に声をかけて話をする時間をつくっている。「部下に成功体験を積んでより大きくなってほしい。社員がいきいきと働けない店は、顧客にもよいサービスを提供できない。社員が楽しく働ける環境をつくることが管理職の使命です」

マネジメントと自分の業務である支店の業務の進捗管理の割合は6対4。法人営業や本部業務を経験した女性管理職は少ないので、若手社員のキャリアアップにおける社内のロールモデルの一つとして道を開いていきたいとも考えている。

▼新任管理職時代、こうして乗り切りました!

《Before》引っ込み思案な性格の自分に合ったリーダー像を模索した
管理職研修を受けたとき強くて牽引力のあるリーダー像が示された。消極的な性格で旗振り役は苦手。縁の下の力持ちであったため、どうすればよいかと、自分なりのリーダー像が描けず悩んだ。


《After》後輩や同僚への気遣いを感謝されフォロー型でよいと吹っ切れた
後輩や同僚に、部署が変わっても悩んでいたとき声をかけてもらってうれしかったと言われ、人の話を聞いてフォローする自分のような形のリーダーでもよいと、自信を持てるようになった。

冨田寿一郎=撮影