【田所】私は、今まで1人でやっていた仕事を、2人か3人でやるといった「ワークシェアリング」の仕組みも整備すべきだと思います。もちろん、お給料も1人分を分けることになりますが。そして、スキル的にも身体的にも、バリバリ働けるシニアに関しては年金の繰り下げ受給などの制度化も必要。そうすることで年金財源にも、だいぶ、余裕ができると思う。
【北田】年金は、一円も貰えないことを覚悟していますね。
【嶋本】私もです。下流老人にならないためには、自分の身は自分で守るしかない。
【田所】だからこそ、生涯働くという選択が広がるといい。実は私はすでに、週末などにクラウドワークで、翻訳の副業をしているのですが、こうした、クラウド上で働きたい人と仕事を発注したい人がマッチングされる仕組みは、生涯現役社会にもフィットすると思います。
【嶋本】あと、問題は介護ですよね。人口構成を考えると、ますます老老介護が増えることは必至。高齢者が働くためには、親を預けるための老人介護施設の整備が進み、待機老人問題が減少することが前提ですよね。そうでなければ、働きたくても、働けません。
それと、健康の問題はすごく大きい。今後は、若い人にこそ、喫煙やアルコール、メタボなどによる健康被害の問題などを啓発し、予防医学の分野を促進することも必要。たとえば、スポーツを促進する企業に助成金を出すとか。シニアだけではなく、人間の一生を見て政策を考えてほしい。
【田所】本当ですよね。政府の施策はどれも「その場しのぎ感」がすごくて。二手三手先を考えて行動する力が、正直、弱いと思う。だって、人口減少や高齢者の増加は、ずっと前に予測できたことでしょう。それに対する施策が後手後手に回り過ぎだと思いますね。
▼「生涯現役社会」に関する要望書
政府が目指す「生涯現役社会」について、下記により要望いたしますので、宜しくご配意賜りますよう、切にお願い申し上げます。
(1)みんながみんな働き続けるのではなく、選択できる社会にしてください。
(2)老害にならないためにも、定年後も同じ場所で働き続けるのではなく何か新たな仕事を見つけるのが理想。そのサポート態勢をしっかりつくってほしいです。
以上 第12回 座談会参加者 一同