【松村】やっちゃったものはしょうがないから(笑)。あと、僕のポリシーとして、女性は絶対怒らないので。

【小松】男性社員には怒りますがそれも本人のため、お客様のためという信念がある。怒るときも、もてなしができていなかったなど、自分のためではなく、誰かのため。そういう社長だからこそ、難病を発症した後も誰も何も聞かずに、ただ、松村社長を信じてその背中を見失うことがない。そんな人と人との結束がダイヤモンドダイニングのポテンシャルだと思いました。

【松村】僕は、ただ、役割として社長をやっているだけ。社員に、助けられていることばかりですよ。

【小松】松村社長がパーキンソン病と闘い始めてから、2015年に周囲にその異変が知れるまで、時間がありましたよね。その間に、築いてきたものは絆だと思うんですよ。病気の告白にも誰一人、驚かなかったし、何も変わらなかった。異変が起きていることには誰もが気づいていたと思いますが、社長が言わないから聞かない。「社長は社長だから」という思いが、社員全員にあった。その思いの丈に深く感銘を受けました。

【松村】心配はかけていたと思います。だけど、僕が出す難題に見事に応じてみせる社員たちの姿に、僕は励まされました。だから、孤独だと思ったことは一度もないんです。もちろん、病気を受け入れられずに悩んだ時期もありましたが、それ以上に「社員たちの頑張りに応えられなくて、何が社長だよ」と。僕が、パーキンソン病になったことにも、きっと理由があるとも思いました。なぜなら僕しかなっていないのだから。病気の辛さを知ることでしかできなかったことがあるのかもしれない。実際、体は不自由ですが頭はどんどんクリアになっていきます。体が動かない分、五感が冴えわたって次へ、次へ、と考える。前進しかないんです。困難を乗り越えるために必要なことはただ1つだけ。絶対に諦めないこと。