また、トランプは結婚の回数は多いが、愛人を囲っているという報道もなく、それぞれにそれなりの誠意を見せている。

また、3人との間にそれぞれ子どもをもうけているが、跡取りはイヴァナの娘・イヴァンカと宣言している。イヴァンカには兄と弟がいるが、優秀なら息子である必要はないと考えているようだ。

私も一度、ニューヨークの某レストランでトランプと握手したことがある。その時の印象は、エルビス・プレスリーとテディベアだった。

松下幸之助曰く、成功に必要なのは「運と愛嬌」である。トランプは事業では何度も失敗しているが、そのたびに復活もしている。彼の成功を信じて、融資する人が常に存在してきたのだ。運と愛嬌の塊のような人なのだと対面して感じた。これは彼が支持されるゆえんだろう。

私が考えるに、トランプが当選しようとしまいと、日本が期待する世界の警察としてのアメリカではなくなる。ヒラリー・クリントンが当選したとしても、それが少し先延ばしされるだけのことだ。

正反対のように見えるが、表のように、今回のもう一人の台風の目である民主党のバーニー・サンダースとトランプは非常によく似ている。トランプの発言は、一定の割合のアメリカ人が本音とするところであり、日本はそのことを肝に銘じて対策を考えておく必要がある。

横江公美
政治アナリスト。松下政経塾15期生。ヘリテージ財団で上級研究員を務める。VOTEジャパン株式会社社長を経て、現在「PACIFIC21」代表。
 

Yooco Tanimoto=イラスト