地震に強い家をつくる第一歩は、まず地震を知ることから。どんなときに住宅はダメージを受けるのか。地震による建物被害を左右する「周期」や「共振」などについて、さくら事務所のホームインスペクター・朽木裕二さんに教えていただいた。
東日本大震災と熊本地震はタイプが異なる
東日本大震災から5年。熊本を襲った大地震が再び甚大な被害をもたらした。世界有数の地震大国といわれながら、この数年間を見ても明らかに頻度を増している大地震について、日本人の多くは十分な知識を持ち得ていない。
例えば、東日本大震災と熊本地震では、地震のタイプに違いがあったのか否か。
前者では地震の後に襲ってきた大津波の被害が大きく、後者では地震による建物の倒壊や土砂崩れなどが深刻だった。どこに住み、いかなる地震に備えれば安心して暮らせるのかを考える上で、目の前にある疑問を解消するところから始めなければならない。まずは、地震そのものを知る必要がありそうだ。
そこで、住宅診断をはじめとした個人向け不動産コンサルティングを行う、さくら事務所の朽木裕二さんに伺った。同氏によれば、東日本と熊本の被害の違いは、大地震の震度と発生回数によるものだという。
「東日本大震災より熊本地震のほうが住宅の倒壊が多かったのは、東日本大震災では一部地域で最大震度7を観測しましたが、熊本の場合は震度7の地震が2回、震度6の地震も複数回起きたことに起因しています。また、住宅倒壊が特定地域に集中していることから、地盤との関係も疑われます」
日本列島は、太平洋プレート、北アメリカプレート、ユーラシアプレート、フィリピン海プレートという4つの地殻がせめぎ合う上に連なっている。例えばAプレートがBプレートの下に潜り込む際にBプレートを引きずり込み、その圧力が限界にきたときにBプレートの端が跳ね上がって巨大地震を起こす。これが、海溝型の地震で、東日本大震災のケース。
一方で、内陸部のプレートの内部にある断層(地盤の切れ目)がずれることによって巨大地震の原因となることもある。これが内陸型の断層に起因する地震で、熊本地震はこれに相当する。