ビジネスシーンでは、見た目と声にギャップがある人は信頼されにくい。一体なぜなのか? 研修・講演依頼があとをたたないスピーチコンサルタントの矢野香さんが、「今すぐできる声の磨き方」とともに解説します。

相手に一番印象づけているものは「声」

今回は、「声」についてお話しします。自分の表現力を磨きたかったら、上達の成果が一番わかりやすいのは、「声」なのです。ある心理学の実験では、相手に印象づけているものは「その人の声、顔や服装、体格の順で影響が強い」と報告されています。言葉づかいや表情、ジェスチャー、体のくせはなかなか変えられませんが、声は変えることが比較的簡単です。手っ取り早くでき、効果があるので、ぜひやってみることをお勧めします。

矢野 香さん

まず意識していただきたいのは声の高さです。想像してみてください。自分の携帯電話に見知らぬ番号から電話がかかってきたとしましょう。あなたはどんな声で電話に出ますか? 普段よりやや高い声で警戒しながら出ませんか? 女性は人前で話そうとすると、声が高くなる人が多いのです。

また女性は人によく思われたい、好印象を与えたいと思うと、声を高くする傾向があります。さらに、日本語は世界の中でも、音域が高い言語です。そのため、声の高さを下げるだけでぐっと落ち着きが出て、ビジネス向きの声に変えることができます。とくに男性が多い職場において、会議で女性は自分だけ、というようなときは低めの声で話してみると良いでしょう。

一般的に高い声は、感情的に話しているように論理的でないように聞こえてしまいます。「それはおかしいと思います」と高い声で発言するとヒステリックに抗議しているようにも聞こえますし、緊張して声が上ずっているようにも聞こえてしまいます。自信がないように、本音を言っていないように聞こえてしまうこともあります。