望み通りの人生を、手にする父はカッコいい
【河崎環さんの回答】
ご相談者がお考えになる働く父の姿とは、黒っぽいスーツにネクタイを締めて、朝から晩まで会社勤めをするビジネスマンの姿でしょうか。季節の移ろいと気候の変化にいつも関心を向けながら、腰を曲げ手も顔も真っ黒にして汗をかく農家の姿でしょうか。あるいは、教壇に立ち生徒の人生に真剣に向き合う教師、自分たちにしかできないものづくりにプライドをかける町工場の職人、スポーツ選手や電鉄の職員や、世にはさまざまな「働く男たち」がいますよね。
子にとって、父の姿とはどんな姿であっても「父」なのです。ご自分の価値観に沿った理想の父親の背中を欲しがっているのは、お子さんというより本当は妻であるご相談者なのかもしれません。アーリーリタイアメントを目標にして、自ら稼いだお金を原資に投資に成功し、望んだ通りの悠々自適な人生を手にする父の姿は、充分にカッコいいのではありませんか。
悠々自適ついでに、きっと旦那さんは家庭に割く時間もたっぷり取ってくれるのだと思います。晩婚でもうけた大切な息子さんを、お父さんが傍らでしっかりとその成長を見つめてくれる。これまでの社会経験と、投資の知見から旦那さんが手にした人生観や社会観を、息子さんに語りながら。それこそ私などから見れば理想の人生、うらやましい限りです。
この際、ご相談者は「うっわー、こんな上等のダンナ持って、私ったらラッキー!」とばかりに、あとは男子(父と息子)2人に任せて職業人生に邁進(まいしん)してしまいましょう。その母親の背中もまた、息子さんには学ぶものが大きいと思います。
フリーライター/コラムニスト。1973年京都生まれ、神奈川育ち。乙女座B型。執筆歴15年。分野は教育・子育て、グローバル政治経済、デザインその他の雑食性。 Webメディア、新聞雑誌、テレビ・ラジオなどにて執筆・出演多数、政府広報誌や行政白書にも参加する。好物は美味いものと美しいもの、刺さる言葉の数々。悩みは加齢に伴うオッサン化問題。
文=本田健、河崎環 イラスト=伊野孝行