「不適切」となる取引とは?
企業経営をしていれば、貸したお金が返ってこないことや、不動産を売却して損をすることなどは、生じうること。このような取引をしたというだけで「不適切」になるわけではありません。
とはいえ、特定の企業との取引で、多額の損失を負っていますから、何か問題がありそうですよね。実際、王将は上記の取引について法律上の適切な手続きを踏んでいなかったり、合理性の検討をしていなかったりしたことが明らかになりました。
例えば、不動産を購入する場合、王将のビジネスのために必要であるかどうはもちろん、価格が適切であるかどうかも重要です。たとえば、1億円で購入できるはずの土地を5億円で購入したとしたら、実質4億円の損失であり、それは、会社に不当な損失を与える行為です。経営者として責任を問われる可能性もあります。しかも、特定の企業から高く買い取っていたり、高く買い取って安く売却して戻していたりするようなことがあれば、特定の企業に対して不当な利益を与え、その分の損失を被ったことになります。
お金の貸し付けも同様です。王将のビジネスのために本当に貸し付ける必要があるのか、本当に返済可能なのか、担保はどうするのかなど、株主にも説明できるだけの合理性がなければなりません。
本来は取締役会などで内容を議論した上で実行されるべき取引であるにもかかわらず、取締役会決議を欠いていたり、金額的な合理性について不透明な点があったりしたようです。