テクニック2:相手にとっての結論と要点を伝える

●自分の要点も、相手には単なる情報の一部なのかも。

話し手と聞き手の結論が違っている。(イラスト=Maiko Sembokuya)

内容面では、結論と要点、この2つを意識しながら話すことが何よりも重要です。「結論から話す」とはよくいいますが、その結論は自分の結論ではなく相手の結論からまず始めるということです。たとえば仕事を依頼するとき。「ギャラは安いし大変なんですけれど……」と、いきなり難点を持ち出す言い方ではなく、「そんなに条件はよくないけれどお願いしたい仕事があります」と言えばいいということです。

要点も、やはり相手にとっての要点ですが、何が要点かがわからなくてうまく伝えられない人が多い。要点というのは判断が変わる情報をさします。たとえば働く女性を調査したい。働きながら子育てする女性に協力してもらいたい。でも予算がないから近所の人を集めてお金をかけずにやる。となると、この企画の要点は働く女性を調査することではなく、お金がかからない調査ということになるわけです。それが相手と共有できていれば、“要点がつかめている”ということになります。

テクニック3:ノイズをカットする

●こみあげてくる思い、それは聞くほうにとっては雑音!?

感情が入っていて聞きたくない。(イラスト=Maiko Sembokuya)

“感情的に話さない”ということは大事。理由は簡単。感情的に話すと、相手は聞きたくなくなるからです。感情的に話す人特有のフレーズで「納得できません」というものがありますが、それは聞く側からすると、どうでもいいことが多い。担当者の納得で仕事の進み具合が変わるなら、任せられないと判断されても仕方ありません。この台詞は使わないほうがいいでしょう。

語気を荒らげたり、気持ちを込めたり、感情的に話すと、一見説得力があるように見えますが、説得力というのは、出来事と解釈があってはじめて生まれるもの。これよりも大きな感情が出てくると、聞いているほうは混乱してしまいます。「取引先の○○さんが怒っています」という出来事があった場合。「その原因として△△を問題視されていると考えられます」、これが解釈です。出来事を伝えて、それに基づいて自分の解釈を説明するのはOK。そこに「非常識だと思いません?」などと感情が交じるのはNGということです。

鶴野充茂
コミュニケーション教育事業・ビーンスター代表。自己演出プロデューサー。1972年生まれ。筑波大学卒、米・コロンビア大学院修了。在英国日本大使館、国連機関、ソニーを経て独立。『頭のいい説明「すぐできる」コツ』(三笠書房)はベストセラーに。

構成=池田純子 イラスト=Maiko Sembokuya