彼女が結婚でどうしても得たかったものとは

アイカさんは、その話を聞いて、涙が止まらなくなった。「うちは父親不在の家庭で、『自分がいい子じゃないから父が出て行った』って、子供の時から自分を責め続けてきたんです……」「よく頑張りましたね。よく頑張りましたね……」彼は何度も優しく彼女に語りかけた。「よく頑張りましたね」というシンプルな言葉が、彼女の心を溶かし、結婚へと踏み出す勇気を与えたのだ。

バリバリ働く女性は、仕事ができるだけではなく見た目も美しい人がかなり多い。そして、美しいがゆえにお見合いは断られにくいが、見た目にしか興味を持ってもらえず、それ以上の内面にまで踏み込んでくる男性がいないと嘆く人も多い。

「申し分のない条件の男性に出会ってもときめかない」のは、自分の心が冷えているのではなく、お互いに内面の深い交わり合いができていないからではないだろうか。まずは、これまでの人生で、自分がどんなことに喜びを感じ、またどんなことに傷ついてきたのか、一度振り返ってみてほしい。そして、信頼できる男性かどうかを見極め、その上で、喜びや悲しみを抱えた内面に踏み込ませる“隙”を作ってみてほしい。相手が信頼できる人物かどうかを判断するためには、あなたも相手の喜びや悲しみのポイントを探り、踏み込むことになるだろう。「内面の深い交わり合い」とは、こういうことではないかと思う。

大西明美
婚活アドバイザー。結婚相談所を経営。1977年大阪府生まれ。東京都文京区在住。過去20年で延べ4万3000件の恋愛を研究してきた婚活指導の第一人者。小中学校ではイジメを受け友達がいなかったため、周囲の人間関係を観察することを目的にして登校を続ける。特に恋愛に注目してコミュニケーションを学ぶ。高校生のとき、初めてできた友人に恋愛相談を持ちかけられ、日頃鍛えた人間観察眼を生かしたアドバイスを行い、無事に解決。それをきっかけに恋愛相談が立て続けに舞い込むようになる。婚活指導を通して、5年間で200組以上のカップルを成婚へと導いている。
著書に『となりの婚活女子は、今日も迷走中』(かんき出版)がある。