大学で教える経験がコミュニケーションのトレーニングに

【原田】人材育成で意識していることはありますか?

原田博植(はらだ・ひろうえ)さん。株式会社リクルートライフスタイル ネットビジネス本部 アナリスト。人材事業、販促事業、EC事業にてデータベース改良とアルゴリズム開発を歴任。2015年データサイエンティスト・オブ・ザ・イヤー受賞。

【村本】「べき論」を捨てるのと似ていますが、「人に対してあまり期待しすぎない」ことは意識しています。人に対して期待しすぎたり、「こうあるべき」と考えると、高い成果が出ないときに責めてしまったりして、お互いにストレスを生んでしまいます。その人が持っている力の、ちょっと上ができればいい。そう考えるようになって、人生が楽になりました。上がイライラしていると、下もイライラしますから。

【原田】では、これまでに仕事で悩まれたことは?

【村本】私は子供の頃から人見知りでした。そのため、新卒で働き始めてすぐに、職場の上司に「自分をオープンにしている方が楽だよ」と言われたんです。自分の周りに柵を作ってしまうと、他の人が入って来られなくなります。3、4年かかりましたが、その後は偉い人とでもフラットに話せるようになりました。

【原田】コミュニケーションで悩まれていたなんて、今の村本さんからは想像がつきません。

【村本】コミュニケーションのトレーニングになったのは、大学で教えていた時です。授業中、寝ていたり、スマホを触っていたりと、私の話を全然聞かない学生がいたんです。注目してもらえないというのは大きなストレスでした。でも、「学生にやる気がない」のではなく、「私の授業がつまらないからだろうな」と思って、授業を工夫しました。

【原田】マーケティングに似ていますね。

【村本】そうです。相手はどう思っているんだろうと想像力を働かせ、興味を持ってもらえる方法を考えるところは同じです。dTVも、12万作品あるのですが、それをどうしたらもっと楽しんで見てもらえるか、常にそれを考えていますから。