2.読むべき本、読んではいけない本

30代くらいまでは、自分の興味にまかせて、関心の幅を広げる時期だと思います。あまり意識せず、自分の興味の向くままに、さまざまなジャンルの本を読んでいただきたいと思います。

しかし、40歳を過ぎたあたりからは少しずつ、「絞り込み」を意識するといいでしょう。それまでに広げてきた中から、自分の真の関心分野を絞り込んでいくのです。掘り下げていきたいテーマを見つけて、深く追求していく。

イラスト=北澤平祐

これは、いってみれば横に広げた関心領域の中から1つを選び、縦に深く掘り下げていくという「T型読書法」とでも呼べるものです。でも私はここでとどまらず、それをもう少し進化させた「フォーク型読書法」をお勧めしたいと思います。T型読書法によって掘り下げるテーマや分野の数を、1つから2つ、2つから3つへと、フォークの“歯”のように増やしていくのです。

こうして、自分の関心分野の中から、特に精通したテーマを増やしていけば、そこから自分のライフワークを見つけることができるでしょう。

貴重な時間を使って読書をするのですから、質の悪い本を読むのは避けたいものです。私が本を選ぶ際に判断基準の一つにしているのが、口述筆記本かどうかということです。

一般的に、著者が時間をかけて書いた本に比べると、著者の話をゴーストライターが聞き取ってまとめた口述筆記本の中には、記述内容に正確性を欠くものが多いように思います。また、議論が大ざっぱなものも散見されます。こうした本は、その時々で大きな関心を集めている話題に関するものが中心なので、タイミングを逃さないよう、急いで出版されることが多く、どうしても質的な問題が出てくるのです。