人をスペックで値踏みすると、チャンスを遠ざける
トオルさんとのお見合いを望んだのは、「私も残業の毎日ですが、たとえお給料が半分になっても、この仕事を辞めません。だから、とにかく仕事に一生懸命という人にはとても共感できます」と話す中学校教師のチサトさん、36歳だ。トオルさんはこのたった1回のお見合いで結婚相手と出会うことになった。
チサトさんは、プロポーズでハリー・ウィンストンの婚約指輪を差し出され、気絶しそうになったという。「トオルさん、なんで私にうそをついたの?」と、彼女は少し怒りながら尋ねた。「僕がごく普通の年収だったとしても、愛してくれる人と結婚したかったんだ。ごめん。結婚してください」「ごめん、結婚してくださいって……まぁ、少ないよりいいから許してあげる」
今では2人の子どもに恵まれ、トオルさんは出世してさらに年収が上がったとのことだ。自分の利益ではなくチームを強くすることを優先できる人はたいてい出世する。その通りの結果となった。
トオルさんに限らず高収入の男性は、お金目当てで近づいてくる女性に対して警戒心や嫌悪感を抱いている人が多い。そういう男性は、失礼な言い草ではあるが「若くなくてもいい。美人でなくてもいいから、素の自分を愛してくれる女性と添い遂げたい」と考える傾向にある。デキる男性こそ、年収で人を値踏みしない女性を望んでいるのだ。
だから、デキる男性との結婚を望むのであれば、逆に年収、職業、学歴などで男性を判断せず、人間性に目を向けられるようになる必要がある。ビジネスの場でも同じことが言える。人を肩書や役職で判断してはいないだろうか。人をスペックで判断するというその心根が、デキる人を遠ざけるという結果を招く。一度我が身を振り返ってみてほしい。
婚活アドバイザー。結婚相談所を経営。1977年大阪府生まれ。東京都文京区在住。過去20年で延べ4万3000件の恋愛を研究してきた婚活指導の第一人者。小中学校ではイジメを受け友達がいなかったため、周囲の人間関係を観察することを目的にして登校を続ける。特に恋愛に注目してコミュニケーションを学ぶ。高校生のとき、初めてできた友人に恋愛相談を持ちかけられ、日頃鍛えた人間観察眼を生かしたアドバイスを行い、無事に解決。それをきっかけに恋愛相談が立て続けに舞い込むようになる。婚活指導を通して、5年間で200組以上のカップルを成婚へと導いている。著書に『となりの婚活女子は、今日も迷走中』(かんき出版)がある。