一番持ちたいつながりは「切磋琢磨」し合えるつながり

今回の調査結果のポイントは、(1)職場や既存の人間関係を超えたつながりを求める人が約6割、(2)とりわけ求められているのは、発展性のある現実社会でのつながり、(3)つながりが友人を増やし、視野の拡大や自己発見、ビジネスチャンスをもたらすといった変化を多くの女性が経験している、ということ。

イラスト=田中麻里子

SNSという武器を手に入れたことで、人とつながる可能性は増大。スマホ一つで、瞬時にコミュニケーションが取れる現在、一番持ちたいつながりが、「ネット上以外での切磋琢磨(せっさたくま)し合えるつながり」というのがおもしろい。誰とでもつながれる時代だからこそ、逆に現実社会で新たなことを運んできてくれるようなつながりが欲しくなる。これが実感でしょう。

今や、いつでも連絡が取れることは、つながりの十分条件ではなくなっています。現状の友人を中心としたSNSでのつながりから、切磋琢磨し合い、新しい何かを発見できるネット上以外でのつながりへ、という方向性は、IT技術に導かれてコミュニケーションモードを変えてきた世代の希望の、自然な流れなのです。

ネットはもはやインフラ。だからこそリアルへ。ただ、いつでも連絡が取れるというだけではなく、現実を変えるような力のあるつながりでないと意味がない。本当に貴重なのは、目の前にいる人そのもの。そして、その人たちと一緒に新しい何かをしたいという気持ちは、手を伸ばせばそこにいる人とのつながりの再評価ともいえるのです。

年代別にみると、多くの人とつながりたいと思う人の割合はV字形を形成。つながりたいと思う人の割合は20代前半が最も高く、その後は下降し、30代前半で底を打った後、再び30代後半から40代後半にかけて割合が上昇していく。女性にとって30代前半は公私とも多忙を極める時期。職場、家族や友人などに集中し、オフのつながりまで余裕が持てなくても当然です。誰かとつながりたい、という気持ちになるまで、ゆっくり時を待てばいいのです。

つながるばかりが良いわけではありませんが、つながりたい人同士がつながれないのは最も残念。まずは、自分の近くに、つながりたいのにつながれない人がいないか、よく観察してみましょう。20代前半の人なら30代後半以降の余裕のある人をターゲットに。逆に30代後半なら、20代の人たちへつながりを働きかけてはどうでしょうか。年齢が離れていても切磋琢磨できるつながりというのは、宝物ともいうべき、最高の関係のあり方。

自分が人と切磋琢磨しつつ相手にとって新しいものをもたらしうる存在でいられるように、いつも心がけていることが大切でしょう。

安田 雪
国際基督教大学卒業後、コロンビア大学大学院博士課程修了。東京大学大学院経済学研究科特任准教授などを経て、2008年より関西大学社会学部教授。専門は社会ネットワーク分析。ベストセラー『ルフィの仲間力』(アスコム)など著書多数。

イラスト=田中麻里子