美の秘訣は女性としての心持ちから

各国のアッパークラスを顧客に持つだけに、店の品揃えはラグジュアリー感漂うものばかり。パーティーを彩る小物や、着る人を引き立てるドレスは、見ているだけでもうっとりする。

体形キープのために運動と食に気を使っている他に、ルクレチュアさんの美しさの秘密はどこにあるのだろう。たとえばワーク・ライフ・バランスはどのように保たれているのだろう。

「実は、秋冬、春夏と年に2回あるミラノのファッションウィークともなれば、休みは一切なくなるほど忙しいんです。でも、8月には必ず、2週間のバカンスを取りますね」。さすが、イタリアはフランスに勝るバカンス王国と言われる土地だ。

「でも、一番大切なのは普段の過ごし方。私も東京にいた頃は、家に帰るだけで疲れてしまう毎日でした。今は、週に2回、少なくとも週に1回は絶対に、ベビーシッターさんを頼んで夫と2人だけの時間を楽しむんですよ」

「だいたいおしゃれなレストランに行きますね、私たちは他のものにお金を使わず、食事にお金を使うことにしているんです」とうれしそうに教えてくれた。ヨーロッパの人々にとっては、バカンスも夫婦でのデートも、平坦な日常にリズムを付け、人生を楽しむための極意なのだろう。

さて最後に、日本の女性に合うように、シーン別にオススメのコーディネートを教えてくださいとお願いしたところ、胸元がつまった襟付きの真っ白なトップス、そして同じく真っ白の膝丈のスカートを選んでくれた。可憐なという形容詞が似合うような美しいセットアップだ。それは、パートナーとのデートにもいいですねと水を向けると、「これはダメ!」ときっぱり。

「夫と出かける時は、もっとセクシーなものを着なきゃダメ。胸元がもっと開いたものでなければ」

なるほど、忙しく働いていても美しくセクシーな女性でいる最大の秘訣は、きっとこんなメンタリティにこそあり! パートナーとデートなんて絶対にありえないとぼやく前に、デートに連れ出したくなる女性でいることも必要なのだろう。ミラネーゼの美しさの秘密は、その艶やかなデコルテに宿っているのだ。

撮影=池田匡克