経済波及効果は2219億円!?
Airbnbホスト、日本国内5000人超えの過熱

まず、Airbnbについて簡単に説明をしておこう。既にご存じの人も多いと思うが、2008年、サンフランシスコに本社のある「Airbnb.Inc」が設立したAirbnbは、誰でも我が家の一室、所有する物件を気軽に貸し出せるという、「民泊」サービスの需要と供給を結ぶ仕組み。創業以来の利用者はのべ6000万人を超え、賃貸不動産オーナー向けの経営情報誌「家主と地主」によると日本でも2012年あたりからホストとして部屋を提供する人たちが目につくようになったという。

早稲田大学ビジネススクールの根来龍之教授の研究チームが、2014年7月~2015年6月にAirbnbを利用した国内での旅行を対象に算出したところ、日本への経済波及効果は、総額2219億9000万円に及び、2万1791人の雇用を生んだという。

ホストは全国47都道府県で300都市以上と広範に分布しており、調査時点では5000人以上のホストが、年間で150カ国以上から約52万5000人のゲストを自宅に迎え入れていたという。日本法人代表の田邉泰之氏はあるインタビュー記事で2014年から1年間で3倍以上に増えたと語っており、急速に普及していることが分かる。

当然、これだけの経済波及効果があるとなれば、我も我もと群がる人が出てくる。影響を受ける旅館業界は、旅館業法との整合性に異議を申し立てるし、民泊施設周辺には不安を抱く人たちも増加し始めている。

その一方で、2013年から続くビザの要件緩和や空港発着枠の拡大、免税対象拡大などによって訪日客数は2桁の伸びを続けている。その影響で東京、大阪などの都市部を中心にホテル不足が常態化している。出張の多い人なら予約が取れない、宿泊料金が異常に値上がりしているなどの事態に直面し、困惑したこともあるだろう。

2020年の東京五輪もあり、地域によってはラッシュと思えるほどのホテル建設も進んではいるが、それでも大阪、東京、京都、千葉などの11都府県では、2020年に東京で4000室超、近畿圏では2万室近く不足すると、2015年8月のみずほ総合研究「みずほインサイト」は予測している。