何のために仕事をするのか

そもそも私のこのキャリアのきっかけとなったのは、幼少の頃住んでいた、メキシコでの体験でした。家族で食事をしていたレストランの外で、親子で物乞いをしている様子を見たのです。その時は子どもながらに「怠惰な人たちだ」と思っていたのですが、ティーンエイジャーになった頃、「これは違うぞ。社会的な構造が原因ではないか?」と思い至り、社会的な弱者に目を向けるようになったのです。

何のために仕事をするのか。

私の場合は「弱者救済」と目的が明確ですが、もし、自分が何のために仕事をしているのか悩むようなことがあったら、今一度、目的は何かを、自分自身で突き詰めることが大切だと思っています。目的意識がしっかりしていないと空回りするばかりですから。

その上で、私の使命は一人でも多くの方に難民問題を知っていただくこと。そして、多くの人が難民について議論できる社会にしていきたい。そう考えています。


【守屋由紀さんのお気に入り】

 ■感銘を受けた本  『ねじまき鳥クロニクル』  村上春樹著(新潮社刊)
……最近読んだ本です。相変わらず難解でしたが、戦後70周年の今年、この作品に触れることができたことは感慨深かった。いろいろな所で見聞きしたことと戦争の話がつながり、当時についてもっと学んでみたいと思いました。

 ■モチベーションをあげるもの  カラオケ
……ドリス・デイ「ケ・セラ・セラ」で口火を切り、最後はクイーンの「ボヘミアン・ラプソディ」。長い歌なので聞くほうも疲れてきますが、「マンマ・ミーア」の部分は「さぁ、皆さん、ご一緒に!」と盛り上がります(笑)。

 ■癒すもの  猫&居酒屋巡り
……猫を飼い始めて15年。現在は、雑種2匹と暮らしています。でも、実は猫アレルギー。リビング限定で遊んで、癒されています。居酒屋巡りは、以前は日本酒党でしたが、糖質制限ダイエットを始めてから、もっぱらホッピー派です!

 ■お気に入りのおやつ  チョコレートとナッツ
……UNHCRの本部は、スイスのジュネーブ。本国の出張者がお土産に持ってきてくれる、スイスの素晴らしくおいしいチョコレートが大好きです。かたや、自分で買うのはクルミなどのナッツ。体のことは気をつけているので、事務所のある表参道のナチュラルハウスなどで、無農薬や有機栽培のものを買い求めます。あと、リンゴもよく丸かじりしています。


守屋由紀
国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)駐日事務所 広報官。1962年東京都生まれ。父親の仕事の関係で、日本と海外(香港、メキシコ、アメリカ)を行き来しながら育つ。獨協大学法学部卒業後、住友商事に入社。5年後、結婚を機に退職してアンダーソン・毛利法律事務所へ。1996年、国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)に採用され、2007年より現職。

撮影=石井雄司