貯蓄のない世帯がどんどん増えている
貯蓄広報中央委員会は、政府や日銀、都道府県、民間団体などが協力して、金融に関する広報活動を行う機関で、1952年に活動をスタートしました。この調査はすでに60年以上も行われていて、長期の傾向を見るにはうってつけ。そこで、今回は1963年から約50年間のデータをグラフにしてみました。
グラフのように、前回の東京オリンピックの前年にあたる1963年、貯金のない世帯は22%でした。高度経済成長時代にその比率はどんどん下がり、バブル景気のさなかの1987年には、貯金のない世帯は3%ほどしかありません。この時代、確かに「日本人は貯金好き」だったのです。
ところが、バブルが弾けた1990年代ごろから、貯金のない世帯がどんどん増え始めました。1993年には1割を超え、2003年には2割を突破。そして、2013年には3割を超えて、今に至ります。
振り返れば、バブルが弾けた90年代には、企業倒産やリストラが街にあふれました。生活が厳しくなって貯金を取り崩す人も増えたはずです。また、収入が下がってもバブル時代の生活を変えられず、お金を使いすぎてしまう人もたくさんいました。今、50歳代のいわゆる“バブル世代”には、いまだにそんな傾向があるようですね。
さらに、90年代には就職氷河期が到来。この時期に正社員になれず、ずっと非正規雇用で働く人も少なくありません。この世代も今ではすでに40代になっています。
さて、そんな90年代から、急速に勢力を伸ばしたのが消費者金融です。街には消費者金融の看板があふれ、無人貸付機があちこちに設置されました。クレジットカードのキャッシングが普及したのもこの頃からです。簡単にお金を借りられるしくみが広がって、「貯金なんかなくてもなんとかなる」「お金が足りなくなったら借りればいい」――そんな感覚が世の中にできてきたように思います。