このように強調したいところは仕切り直す=もう一回高い音で言い直すことがポイントです。そのためには「息を吸い直す」ことが重要になります。最初の文字つまり、息を吸って口を開いたときに最初に出る文字の音は強調されて高くなります。「こんにちは」であれば「こ」、「山田明子と申します」と言ったら「や」にあたります。そこで「山田明子」を印象づけたいなら、「山田」の後に1回息継ぎをして「明子」と言い直す。間(ま)を取るのです。強調する部分の前で息を吸う、ということなのです。
自分の名前は、価値があるように自分が名乗れば本当に価値をつくり出すことができます。しかし、その他大勢っぽく名乗れば、そのようになってしまいます。ビジネスにおいては日々、名乗る機会はたくさんあるはずです。電話を取るときは「はい、営業部、山田です」「山田が承りました」などと名乗りますよね。つまり、自分の名前の価値を高めるチャンスはいくらでもあるのです。
挨拶も名乗りの応用編です。「おはようございます」も、正しい日本語では「お」がいちばん高くて、「す」がいちばん低い。しかしこのままだと「なんか元気の良い感じのいい子」という印象で終わってしまいます。そこで、前回お話しした、好印象を与える「親しみやすさ」「活動性」「社会的望ましさ」という3つのカテゴリーを思い出してください。あなたが相手に強く残したい印象は、「親しみやすさ」ですか、「活動性」でしょうか。あるいは「社会的望ましさ」でしょうか。このなりたい自分に合わせた挨拶に変化させてほしいのです。
「社会的望ましさ」のキャラクターを目指す人であれば、正しい日本語で言ってください。つまり、「おはようございます」の「お」がいちばん高くて、「す」がいちばん低い。「親しみやすさ」なら「社会的望ましさ」とは反対です。
「おはようございます」の「す」を上げる。「お」から「す」までがしり上がりになります。
「活動性」を望む人は2音目を上げます。「おはようございます」の場合「は」ですね。そして、最後の「す」は下がります。最後にエクスクラメーションマーク「!」があるような、「すっ」のイメージです。「す」は専門的にいうと無声音。さ行なので音が出ませんが、「活動性」の人は「おはようございます!」と強く言うほうが効果が上がります。