自分のキャラを表す言葉が決まったらそれを積極的に発言していきましょう。もしあなたが「前向きな」私になりたいと決めたなら、次の自己紹介を口にしてみましょう。「よろしくお願いします。鈴木と申します。いつも前向きな性格です」というように。そうすると、相手は「鈴木さんは前向きな人」と覚えてくれるようになります。
このように「なりたい私」が決まったら、その言葉にふさわしいキャラを他者に感じさせるように表現することが大切になります。これが「私プレゼン」です。「親しみやすさ」「活動性」「社会的望ましさ」のどのキャラを選ぶかによって話し方が変わるのです。
話し方のスキルは、「言語(Verbal)」と「非言語(Non verbal)」の2つに分けられます。
Verbalは言葉による表現で、話の内容や起承転結のような話の組み立て方、敬語などの言葉づかいをいいます。Non verbalはさらに「音声非言語」と「身体非言語」の2つに分かれます。音声非言語は相手の耳に入る音すべての聴覚要素を指します。声の高低や大小、話す速度や語尾の伸び方などが入ります。音声非言語は、女性の場合、靴の音に注意! 男性が多いところで女子力を発揮したいときは、プレゼンの前に細いヒールでコツコツと歩くと音の効果を期待できます。仕事のできる女性=「活動性」を表現できるでしょう。
身体非言語は、相手の目に入るすべての視覚要素を指します。髪形、服装、表情やジェスチャー、姿勢など。いわゆる「見た目」です。
日々のコンサルティングで大勢の男女をプロデュースさせていただいています。その中でも、とくに女性は楽しみながら「新しい私」になりきることが得意です。第2回以降から、表現のポイントやコツを詳しくお伝えしていきます。私プレゼン力は一度手に入れてしまえば、きっとあなたのキャリアに役立つ一生モノのスキルになるはずです。
信頼を勝ち取る「正統派スピーチ」指導の第一人者。NHKキャスター歴17年。大学院で心理学の見地から「話をする人の印象形成」を研究し、修士号取得。国立大学の教員として研究を続けながら、政治家、経営者、上級管理職に「信頼を勝ち取るスキル」を伝授。
構成=坂口さゆり イラスト=米山夏子