3. 育児中、部下が残業をしているなかで家に帰るとき、申し訳なく感じる

子育てによって、周囲の人をだましているという意識は、女性のほうが強く感じていることが調査結果からうかがえる。「申し訳ない」という気持ちは、インポスター・シンドロームの原因の一つだろう。

このパターンの場合、配偶者へ協力を求めること。この記事を配偶者に読んでもらってもよい。育児と仕事の両立の難しさ、女性が抱える心理的な負担の大きさを理解してもらい、育児はカップルの共同作業であると明確に位置づけること。結婚前であれば、育児は共同でやると取り決めておくことだ。『フィンランド流 イクメンMIKKOの世界一しあわせな子育て』(ミッコ・コイヴマー著)は、男性の育児について考えるうえで、とてもよい本なので配偶者と読んでみるといい。男性が育児へ積極的に参加すれば、母性と父性のバランスが良くなる効果もある。

4. 昇進したのは自分の実力ではなく「女性枠」があったからだ

昇進した女性のなかには、「自分たちは一種のモルモットだ」などと感じている人もいるという。女性管理職の割合を上げることだけを目的に、あなたが働く会社が「女性管理職の数合わせ」を開始したら、その動きを阻止することはできない。そこでやるべきことは、自分の仕事の評価軸を自分なりに持つことだ。そのためには、社内で、信頼できるメンターが必要になる。

メンターと対話を重ね、客観的な評価軸をつくる。それに基づいて、できるだけ客観的に自分の仕事ぶりを評価すること。さらに年に2回、メンターからも評価してもらうこと。嵐の中を航海する船に羅針盤が必要なように、あなたのキャリアにも羅針盤が必要で、それが客観的な自己評価軸だ。自分の評価に自信が持てれば、自分は実験材料だという意識よりも、挑戦者であるという意識のほうが強くなる。

Q.1の質問で「はっきり感じたことがある」と答えた女性の子どもの有無の割合
女性同士でも子どもの有無で心理的な差が生まれる。育児と仕事の両立による影響は大きい。
●管理職に登用された女性
管理職に登用されても、「女性枠に入っただけ」と感じると、自己評価を下げる引き金になる。