[C]の人の性格傾向と心理分析
あなたは「平均的な日本人」です。ソーシャルスキルズ(社会の人との関係性の中で仕事や生活をしていく能力と技法)も普通に備わっています。でも体調が悪かったり、仕事が多すぎたり、上司の評価が芳しくなかったりすると、どっと疲れが出て、次の仕事へのファイトが減ってしまうことがあります。その結果「発揮能力(または顕在能力)」が落ち、緊張が高まることによって失敗が続いてしまう場合もあります。でも「潜在能力」は落ちていませんから、安心して仕事に取り組んでください。

対策
“自分の人生の主人公は自分だ”というアルフレッド・アドラーの言葉を思い出しましょう。過緊張による被害妄想で、私だけ損をしていると思わないこと。自分が多くの人に期待されていることを思い出すこと。“自分の人生を暗くするのも明るくするのも自分次第だ”――アドラーのこの言葉を目につくところに貼って、常に思い返してください。寝る前には、特に悪いことを「棚上げ」にしましょう。難しいことや嫌なことは、消しゴムで消せるものではありません。バスタイムとストレッチで気分を変えて、寝てしまってください。“今日の苦しみは今日で足れり。明日のことは明日に考えさせよ”とは聖書の言葉です。

[D]の人の性格傾向と心理分析
疲れを知らず、気丈で能力が高い人です。アメリカの神経科医、フリードマンとローゼンマンが提唱した心理学では「Aタイプ」と呼ばれます。会社の創業者や、社内のリーダー、政治家の派閥のドンなどに多いタイプです。本人は気が強く、ストレスをあまり感じませんが、フリードマン達の臨床経験によると、突然大病をすることもあるので、精神と体の関係には注意を払う必要があります。

対策
優秀なので、どんどん仕事が集まってきます。やればやったで、人から高く評価されて収入も名声も高まります。部下もついてくるし、仲間からも尊敬されて頼りにされます。でも、そのハードな調子で仕事を続け、自分を見つめる時間を忘れてしまうと危険です。体と精神のストレスを意識せずに働き続けた結果、逃避反応の1つとしてうつ病になる可能性もあります。時には、人からの新しい頼みを断ることも覚えましょう。


 まとめ 

リラックスできないほど目の前の仕事のことを心配している[A]や[B]タイプの人なんて、とても誠実に思えます。しかしその成果は、頑張りに反してスピードが上がらず、仕事にも仲間にもプラスになっていません。周囲が「もっと肩の力を抜いてね」と声をかけてくれるでしょうが、その実、誰も大事な仕事を一緒に組もうとは思いません。こういう人と仕事をすると周りが大変な思いをするからです。

どんなタイプであれ、やはりアドラーの言葉、“自分の人生を暗くするのも明るくするのも自分次第だ”という通り、自分で状況をコントロールするしかないのです。私がお薦めするのは、できる仕事から手をつけること。そしてその仕事を自分でチェックして、ミスを自分で修正すること。自分の仕事を見つめ直し、自分で正しい方向を見出すことで、経験値が上がり、余裕をもって仕事に向き合えるようになります。その成功体験がゆとりを生み、さらにリラックスした状態を保てるようになり、仕事のよりよい成果に結びつくことになるのです。

佐藤綾子 パフォーマンス心理学 博士
常に女性の生き方を照らし、希望と悩みを共に分かち合って走る日本カウンセリング学会認定スーパーバイザーカウンセラー。日本大学芸術学部教授。「自分を伝える自己表現」をテーマにした単行本は180冊以上。新刊『30日間で生まれ変わる! アドラー流心のダイエット』(集英社刊)は9月4日発売。