最近、料理をしていませんでした。
頑張って仕事をした後、帰宅する頃には気力・体力ともに「夕ごはん作るぞ!」という元気は消え失せてしまうばかり。オリジン弁当でおかずを買うか(主食を食べる元気もない)、気休めにスーパーの煮物用カット野菜を購入し、即席煮を作るのが精いっぱいです。休日だって、気が付いたら、家族の作ったごはんを食べているか、外食が多くなっています。
別に料理が嫌いなわけではありません。むしろ、レシピサイトや料理本はよく見ていたし、テレビの料理番組も好きでした。
『小林カツ代と栗原はるみ』という本を知って、単純に「私の好きな料理の先生はどんな位置付けなんだろう」という興味を持ち読み始めました。本屋として勉強不足かも知れませんが、料理研究家論の本なんてなかなかお目にかかることもありません。
また、友人の家でごはんをいただく時に、彼ら彼女らの好きな料理研究家の影響を見て取ることがあります。家族や友達の作る料理を思い浮かべながら、この本を読み始めました。
本書の構成は、各料理研究家の人物評と、彼女たちが紹介してきた料理を通してレシピの特徴を見ていくというものです。戦後間もなく登場した料理研究家から、外で働く女性が増えた時に時短料理を紹介してきた小林カツ代、そして「主婦のカリスマ」栗原はるみ。あるいは、ハレとケに表現される、行事料理やパーティ料理などが得意な料理研究家と、毎日のおかずを中心に紹介してきた料理研究家との比較。
著者の阿古真理さんは、生活史研究家のライターということもあり、数々のレシピ本を読み込まれたそうです。それぞれの料理研究家のレシピを解読し、時には再現されているので、読書中、どうにもスーパーに行きたくなるかも知れません。