電話が鳴らないオフィス
東日本大震災で、会社も私のキャリアも大きく変わりました。「3.11」前、当社は他社のプロモーションやPRサポート業がメインで、私の仕事は主に化粧品メーカーのPR業務でした。2~3社を担当し、女性誌の編集部を訪ねて商品の説明をしたり、製品のリリースを書いて配信したり。
ところが震災でPRの仕事がほとんどなくなってしまったんです。
前日まではクライアントや出版社からの電話がひっきりなしに鳴り響いていたのに、その日を境にしーんと静まり返ってしまいました。前に決まっていた雑誌の広告がなくなり、イベントもなくなり、テレビCMもなくなりました。
災害や不況など経済的な不安が高まったとき、企業が真っ先に削る分野の1つは宣伝広告費といいます。その直撃を受けてしまいました。売上は半減どころか、限りなくゼロに近づくほどの有り様です。
このとき、社員全員がよくオフィスに集まるようになりました。6~7人いましたが、そのうち女性は2人です。それまでは個々人がクライアントに密着して動いていましたから、社員同士が顔を合わせることが少なかったんです。仕事がないから、オフィスにみんな集まって、「これからどうする」って。そういう会議を毎日つづけるなかで、1つ不思議なことに気がついたんです。