時代に合わせて常識を変えよ!

「預金は正義」の常識が決して間違っていたわけではありません。20世紀の高度経済成長時代においては、預金は確かに正しい行為だったと思います。

ところが1990年代をピークに、日本経済は成長が止まってしまいました。そこからこの国は、デフレという経済の病気に冒されていくわけですが、この時期を節目に、日本は高度成長経済から成熟経済へと、抜本的な構造転換を余儀なくされたのです。

日本全体が成熟社会へと、社会構造のみならず考え方や価値観の転換をも怠ったままで今に至ったために、変わるべき様々な常識もそのまま温存されてしまったのです。

その代表的なものが、「預金は正義」の常識であり、とりわけ2012年11月にアベノミクスにより大構造転換が始まった時から、明白にこの常識は非常識へと、オセロゲームのようにひっくり返ったと僕は考えています。

この大転換の意味をしっかり理解して、まずは「脱“預金バカ”のすすめ」という観点からウーマンオンライン読者の皆さんに、お金に対する新たな気付きと、負け組にならないための行動規範をこれから具体的にお伝えしていきます。

次回は、なぜ私たちは「預金は正義」と教わってきたのかを日本経済の歴史を遡って紐解いていきたいと思います。

中野晴啓(なかの・はるひろ)
セゾン投信株式会社 代表取締役社長
1987年明治大学商学部卒業後、現在の株式会社クレディセゾン入社。セゾングループで投資顧問事業を立ち上げ、海外契約資産などの運用アドバイスを手がける。その後、株式会社クレディセゾン インベストメント事業部長を経て2006年に株式会社セゾン投信を設立、2007年4月より現職。米バンガード・グループとの提携を実現し、現在2本の長期投資型ファンドを設定、販売会社を介さず資産形成世代を中心に直接販売を行っている。セゾン文化財団理事。NPO法人元気な日本をつくる会理事。著書に『投資信託はこうして買いなさい』(ダイヤモンド社)、『預金バカ』(講談社)など。